聖書 新共同訳 旧約聖書続編

日本聖書協会

ト ビ ト 

じょ

1

1トビトのものがたりしょちちはトビエル、はハナニエル、さらにアドエル、ガバエル、ラファエル、ラグエルとさかのぼるナフタリぞくアシエルのけいにトビトはぞくする。2トビトは、シャルマナサルがアッシリアじんおうであったときにティスベのしゅうとなった。ティスベは、かみガリラヤのケデシュ・ナフタリのみなみ、アセルのきた西にしかうみちうしろ、フォゴルのきたにある。

トビトのしんこうせいかつ

3わたしトビトは、しょうがいつうじてしんせいみちあゆつづけた。またわたしは、いっしょらえられてアッシリアじんニネベにったしんぞくどうほうものたちのためにおおくのぜんわざおこなった。4わたしがまだわかくしてきょうイスラエルにいたとき、ナフタリのぞくはこぞってせんダビデのいえとエルサレムからそむはなれた。このエルサレムはすべてのぞくのためにいけにえをささげるもくてきで、イスラエルぜんたいによってえらされたまちである。このまちにはかみまいであるしん殿でんかぎりなくつづくようにとせいべつされ、てられていた。5しんぞくぜんいんナフタリのいちぞくは、きたイスラエルのおうヤロブアムがダンでつくったうしに、ガリラヤのやまやまでいけにえをささげていた。6しかし、イスラエルぜんたいのためえいきゅうまもるべきさだめとしてしるされているように、まつりのときには、わたしはただひとしゅうかくちくはつものちくの十ぶんの一、およびひつじはつりのたずさえ、あししげくエルサレムへかよった。7そしてさいだんすすて、それらのものをアロンのそんであるさいたちにし、こくもつ、ぶどうしゅ、オリーブ、ざくろ、いちじくおよびくだものの十ぶんの一を、エルサレムでつかえているレビのそんたちにあたえた。べつの十ぶんの一を六ねんぶんかねえてってき、まいとしエルサレムにって使つかうのであった。8また三ねんごとにはそのかね、およびイスラエルのなかくわわったかいしゅうしゃたちにってってあたえ、モーセのりっぽうさだめているていしたがって、ともしょくをした。それはまた、ハナニエルのははデボラがめいじたおきてでもあった。というのは、ちちに、わたしはとなっていたからである。

しゅうでのせいかつかみみちび

9さてわたしはおとになったとき、せんけいからつまをめとり、かのじょによっておとこをもうけ、そのをトビアとけた。10わたしはアッシリアにしゅうとなり、ニネベのまちれてられた。そこでは、しんぞくどうほうものたちはみなきょうしょくをしていた。11しかしわたしは、こころかためてきょうしょくはしなかった。12そして、こころからかみのことをおもっていたので、13いとたかかたは、わたしがシャルマナサルおうめぐみとこうられるようにしてくださり、それでわたしは、おうひつようものれるやくあたえられた。14そこで、おうぞんめいちゅう、わたしはメディアにっておうひつようものもとつづけたが、メディアのほうにいるガブリのきょうだいガバエルに、ぎん十タラントンのはいったさいあずけておいた。15しかし、シャルマナサルのかれわってそのセンナケリブがおうとなると、メディアにいたみちけんとなり、わたしもメディアにくことができなくなった。

トビトのぜんこうさいなん

16シャルマナサルのぞんめいちゅう、わたしはどうぞくものたちにぜんわざおこなった。17えたひとびとものあたえ、はだかひとびとにはものせ、またどうぞくのだれかのたいがニネベのまちじょうがいほうされているのをれば、まいそうした。18おうセンナケリブは、そのおかしたぼうとくのため、てんおうであるかみさばきをけ、ユダヤからかえってた。そのとき、かれころしたものがいたので、そのひとをもほうむった。じつセンナケリブは、いかりにまかせておおくのイスラエルじんさつがいしたのであるが、わたしはそのたいをこっそりはこんではまいそうしていたので、センナケリブがたいさがしてもつからなかった。19しかし、ニネベの一みんおうセンナケリブにみっこくしたので、わたしはかくした。おうがわたしのことをり、わたしはぶんがおたずものとしていのちをねらわれていることがかったので、おそろしくなってげた。20ざいさんはすべてぼっしゅうされておうほうげられ、わたしにはつまハンナとむすトビアだけがのこされた。

おいアヒカルのとうよう

21それから四十にちもたたぬうちに、おうはそのふたむすころされた。しかしふたがアララトのやまやまのがれたので、センナケリブのべつむすエサルハドンがおうについた。そしてかれは、わたしのきょうだいアナエルのむすアヒカルをおうこくざいせいかんしゃにんじたので、アヒカルはこくぜんたいにわたってけんりょくつようになった。22そのアヒカルがわたしのことをおうしゃくめいしてくれたおかげで、わたしはニネベにかえることができた。アヒカルは、かつてセンナケリブがアッシリアのおうであったときにきゅうがしらおういんしょうかんしゃ、かつこくざいたんとうしゃでもあったので、エサルハドンはさいかれをそのにんかせたわけである。しかもアヒカルはわたしのしんせきで、おいたっていた。

さいとのさいかい

2

1こうしてわたしは、エサルハドンおうそくいえかえつまハンナとむすトビアにさいかいした。さて、じゅんさい、すなわちななしゅうさいせいなるに、ごちそうがわたしのためにじゅんされ、しょくをするためにせきいた。2わたしのかたわらにしょくたくもうけられ、おおくのりょうはこばれた。そこでわたしは、むすトビアにった。「わがよ、らわれのとなってニネベのまちにいるわたしたちのどうぞくのうちで、ほんとうかみこころめているまずしいひとつけてれてなさい。そのひといっしょしょくをしよう。わたしはおまえもどってるまでっているつもりだ。」

しゃまいそう

3そこでトビアは、どうぞくのうちでだれかまずしいひとがいないかとさがしにかけた。しかしかれもどってて、「ちちよ」とったので、わたしが、「わがよ、どうしたのだ」とたずねると、かれこたえてった。「わたしたちのぞくひところされてひろてられております。たったいまそこでくびめられてころされたのです。」4そこでわたしは、りょうにはまったをつけずにいえからし、そのたいひろからはこり、にちぼつってまいそうするため、一けんあんしておいた。5いえもどり、あらきよめてからしょくをしたが、かなしいもちであった。6げんしゃアモスが、ベテルのひとびとかたってったこと

「おまえたちのまつりはかなしみに、

まえたちのうたはことごとくなげきのうたわる」

おもし、7かなしんだ。しずむとわたしはかけてき、あなり、たいまいそうした。8きんじょひとたちは、わたしをあざわらってった。「このおとこはもうおそれていないのか。かつて、いまおなことをやり、いのちをねらわれてげたのではなかったのか。それなのに、よ、またにんほうむっている。」

トビトのしつめい

9そのよる、わたしはあらきよめたのちいえなかにわき、そのへいかたわらでねむった。あつかったのでかおにはなんおおいもけなかった。10さて、わたしはづかなかったが、すずめなんかすぐうえへいにいた。すずめあたたかいふんをわたしのりょうがんとし、それがもとで、しろまくができてしまった。そこでなおしてもらおうとなんにんかのしゃのところへかけてったが、しゃたちがぐすりればるほど、はそのしろまくのためにえなくなり、ついにしつめいしてしまった。四ねんかんしつめいじょうたいつづいた。しんぞくものたちはみなわたしのことをかなしんでくれ、アヒカルもかれがエラムにくまでの二ねんかんわたしのをしてくれた。

つまハンナとのこうろん

11そのころ、わたしのつまハンナははたりのごとをしていた。12がったものをやとぬしのところにとどけて、ちんぎんをもらっていた。デュストゥロスのつきなのかのじょごとえ、おりものやとぬしとどけたところ、そのひとびとちんぎんぜんがくはらってくれたうえに、れのなかからぴきを、いえってかえるようにとくれたのである。13つまもどってたとき、はじめたので、わたしはつまんでった。「どこからこのれたのか。まさかぬすんできたのではないだろうな。もしそうならば、ぬしかえしなさい。わたしたちには、ぬすんだものべることはゆるされてはいないのだ。」14するとつまは、「ちんぎんとはべつに、おくものとしていただいたのです」とこたえた。しかしわたしは、つましんじようとせず、ぬすんだとおもんで、ぬしかえすようにり、かおにしておこった。するとつまこたえてった。「あなたのあわれみはどこへったのですか。どこにあなたのせいがあるのですか。あなたはそういうひとなのです。」

トビトのいの

3

1かのじょのこのこといて、わたしはこころふかかなしみをおぼえ、なみだながした。そしてうめきながらいのはじめた。

2しゅよ、あなたはただしく、

あなたのすべてのわざもまたただしいのです。

あなたはすべてのわざにおいて、

あわれみとしんじつしめし、

このさばかれます。

3しゅよ、いまわたしをおぼえ、

わたしにめてください。

わたしのかずかずつみゆえに、

またわたしとせんたちののゆえに、

わたしをさばかないでください。

わたしはまえつみおかし、

4あなたのおきてしたがわなかったのです。

それゆえ、あなたはわたしたちを、

あらゆるくにたみなからし、

そこでりゃくだつしゅうけいけんさせ、

そのためにわたしたちはものわらいのたねとなり、

あざけり、はずかしめをあじわいました。

5あなたが、わたしのつみあるおこないにたいしてくだされる

おおくのさばきはただしいのです。

わたしたちはあなたのおきてまもらず、

あなたのまえしんじつをもってあゆみませんでした。

6いまこそ、こころのままにわたしをさばき、

わたしのたましいり、

わたしがじょうからはなたれ、

つちもどるようにしてください。

なぜなら、わたしはきるよりも

んだほうがよいのです。

わたしがみみにするのは、とうはずかしめであり、

わたしはおおいなるかなしみにつつまれています。

しゅよ、どうぞ、わたしをこのくるしみからはなち、

えいえんまいへかせてください。

しゅよ、あなたのかおをわたしから

そむけないでください。

なぜなら、んではずかしめをみみにすることのないほうが、

きておおきなくるしみにうよりましなのです。」

サラのこう

7そのおなに、メディアのエクバタナにむラグエルのむすめサラも、ちちおやつかえるおんなれいひとからはずかしめのことけた。8サラは七にんおとことついだが、しょごすまえに、そのつどあくアスモダイがおとこころしてしまったからである。そのことで、おんなれいはサラにった。「あなたが、しゅじんたちをころしたのです。あなたは七にんおとことつぎながら、どのかたらなかったではありませんか。9それなのに、あなたのおっとたちがんだからといって、なぜわたしたちにつらくたるのですか。あなたもあのかたがたのもとへったらいいでしょう。これからさき、あなたのむすむすめたくはありません。」

10その、サラはこころふかかなしみをおぼえてなみだながし、ちちいえの二かいがり、くびをくくろうとした。しかしおもなおして、こうった。「おそらくひとびとはわたしのちちじょくしてうでしょう。『おまえにはあいするひとむすめがいたが、こうにしてくびをくくってしまった。』そうなれば、としいたちちかなしませて、おくむことになる。だから、わたしがぶんくびをくくってしまうよりも、しゅにおねがいしてなせていただくほうがよいのです。そうすれば、ながらえてはずかしめのことみみにすることもないでしょう。」

サラのいの

11そこでかのじょは、りょうひろげてまどほうべ、こういのってった。

あわれみぶかかみよ、

あなたとあなたのえいえんにほめたたえます。

あなたにつくられたばんぶつ

とこしえにあなたをほめたたえますように。

12いまわたしは、あなたにかってかおげ、

あなたをあおます。

13どうか、わたしがこのからかいほうされ、

はずかしめのことを二みみにすることの

ないようにしてください。

14しゅよ、あなたはごぞんじです。

わたしがどのおっとともふうかんけいたず、

きよであることを。

15また、しゅうで、

わたしのも、わたしのちち

けがさなかったことを。

わたしはちちにとってたったひとむすめであり、

ちちにはほかにあとぎはありません。

またちちには、

わたしをつまとしてむかえるべきちかしんぞくも、

しんせきもないのです。

すでにわたしの七にんおっとんでしまいました。

わたしがこれじょうながらえて、

なにになりましょう。

しかし、もしわたしのいのちうばうことを

のぞみにならないのならば、

しゅよ、いまわたしにけられている

はずかしめのことをおきください。」

かみけいかく

16トビトとサラのふたいのりは、えいこうちたかみどうれられた。17そこでふたをいやすために、ラファエルがおくられた。すなわち、トビトのあいは、ぶんかみえいこうられるように、からしろまくのぞくためであり、ラグエルのむすめサラのあいは、トビトのむすトビアにつまとしてあたえ、かのじょからあくアスモダイをはなしてやるためであった。というのは、サラをめとるかくかのじょとのけっこんのぞんだどのおとこにもなく、トビアにこそあったからである。ときはまさにかみふたいのりをれられたちょうどそのときであった。トビトがなかにわからいえもどり、ラグエルのむすめサラはちちいえの二かいからりてきた。

トビト、トビアをさと

4

1その、トビトはメディアほうラゲスにいるガバエルにあずけておいたおかねのことをおもした。2そしてこころなかった。「わたしはぬことをねがもとめた。まえに、むすトビアをんで、このおかねのことについてげておかねばなるまい。」3そこでむすトビアをせ、こうった。「わたしをあつほうむってくれ。ははおやうやまい、ははきているかぎり、ててはならない。ははおやまえでは、そのよろこぶことをなし、なにをするにしても、ははこころかなしませてはいけない。4わがよ、おまえははおやたいないいたとき、ははおおくのけんったことをわすれてはいけない。ははおやんだら、わたしとならべておなはかほうむりなさい。

5わがよ、きているかぎり、しゅをいつもおぼえておくのだ。つみおかしたり、しゅいましめをやぶったりしようとしてはならない。いのちあるかぎり、せいおこないなさい。あくみちあゆんではならない。6なぜならば、しんおこなうならひとはすべてそのおこないのゆえにさかえることになるからである。すべてせいおこなひとびとには、〔7まえざいさんのうちからほどこしをしなさい。ほどこしをするにさいしてはよろこんでするのだ。どんなまずしいひとにもかおそむけてはならない。そうすれば、かみもおまえからかおそむけることはけっしてなさらないだろう。8まえざいさんおうじて、ゆたかならゆたかなりにほどこしをしなさい。たとえ、すくなくてもすくないなりにほどこすことをおそれてはならない。9そうすることで、おまえきゅうぼうそなえて、ぶんのためにたからむことになるのだから。10ほどこしをすれば、ひとからすくわれ、あんこくかいかずにむのである。11ほどこしは、それをするすべてのものにとっていとたかかたまえにささげるささものとなる。

12わがよ、すべてのみだらなおこないからまもりなさい。なによりもまず、せんたちのけいからつまをめとりなさい。ちちぞくでないのところからめとってはならない。なぜなら、わたしたちはげんしゃそんなのだから。わがよ、ノア、アブラハム、イサク、ヤコブなど、わたしたちのいにしえのせんたちをこころめておきなさい。かれらはすべて、どうぞくなかからつまをめとり、だからめぐまれた。そしてそのそんやくそくいできた。13わがよ、どうぞくものたちをあいしなさい。そして、おまえどうぞくどうほうむすむすめたちよりぶんほうえらいなどとおごりたかぶって、かれらのうちからつまをめとらないとってはならない。なぜなら、おごりたかぶれば、めつまねき、ちつじょおおいにみだれる。ときごせば、ざいさんうしない、ひどいけつぼうおちいるから。なまけることはえにつながるのだ。

14はたらいてくれたひとにはだれにでも、すぐにそのちんぎんはらいなさい。はらいをよくじつばしてはならない。そうすればおまえかみつかえるとき、かみむくいてくださるであろう。わがよ、なにをするにせよ、じゅうぶんちゅうし、あらゆるてんで、おしえがいていることをしめしなさい。15ぶんいやなことは、ほかのだれにもしてはならない。ぶどうしゅうまでんではならない。また、うことがしゅうかんとなってはならない。16えているひとに、おまえしょくもつを、はだかひとにはおまえふくあたえなさい。ぶんなものはすべてほどこしなさい。ほどこしをするときはよろこんでしなさい。17ただしいひとびとまいそうするときは、そこでえんもうけなさい。しかしつみびとたちのあいには、そうしてはならない。

18りょぶかひとからはちゅうこくもとめ、ゆうえきちゅうこくはどんなものもかろんじてはならない。19いかなるときにもしゅなるかみをほめたたえなさい。おまえみちがまっすぐであるように、またおまえのすべてのあゆみとけいかくがうまくいくように、かみもとめなさい。すべてのこくみんみちびきをるのではないのだから。〕しゅは、ただしいみちびきをあたえてくださるが、ひとにまでとすこともおできになるのだ。わがよ、これらのいましめをこころおぼえ、わすることのないように。

20さてわがよ、いままえつたえておこう。メディアほうラゲスにむガブリのガバエルに、わたしは十タラントンのぎんあずけてある。21わがよ、わたしたちがびんぼうになったことをしんぱいしてはならない。もしかみおそれ、あらゆるつみけ、しゅなるかみまえよろこばれることをするなら、おまえおおくのきものをることになる。」

トビアのへん

5

1そこでトビアはちちトビトにこたえてった。「おとうさん、わたしにおめいじになったことはすべておこないます。2でも、そのぎんをどうやってれたらよいのでしょうか。かれはわたしをらないし、わたしもかれりません。どんなしょうしなわたせば、かれはわたしがあなたのであるとみとめ、わたしをしんじてぎんかえしてくれるでしょうか。またメディアにみちも、わたしはらないのです。」

3トビトはむすトビアにこたえた。「ガバエルはひつしょうもんつくり、わたしもそれにしょめいした。そして、それを二つにけ、おのおのがしょうもんいっぽうった。かれしょうもんはんぶんともぎんった。いまはもう、ぎんあずけてから二十ねんになる。わがよ、だれかいっしょってくれるしんらいできるひとつけなさい。そのひとにはかえってるまでかんほうしゅうあたえよう。さあってガバエルからそのぎんをもらってなさい。」

てん使ラファエルとの

4メディアまでのみちくわしく、いっしょってくれるひとさがしに、トビアはそとた。てみると、てん使ラファエルがまえっていた。しかしトビアには、かみ使つかいであることがからなかった。5そこでトビアはたずねた。「わかものよ、あなたはどちらのかたですか。」ラファエルはこたえた。「わたしはイスラエルじんで、あなたのどうぞくものです。ごとつけにここにました。」トビアはさらたずねた。「メディアにみちをごぞんじですか。」6ラファエルはこたえた。「はい、わたしはたびたびメディアにっており、どのかいどうもよくっています。メディアにったときに、そのほうのラゲスにむわたしたちのどうぞくのガバエルのいえなんまったこともあります。エクバタナからラゲスまではふつみちのりです。ラゲスはさんがくたいにあり、エクバタナはへいなかにあるからです。」

7トビアはった。「わかものよ、わたしがいえはいってちちほうこくするあいだ、ここでっていてください。ぜひいっしょっていただきたいのです。もちろんほうしゅうげます。」8ラファエルはった。「ここでっていましょう。ただあまりながくならないようにおねがいします。」

9そこでトビアはいえはいり、ちちトビトにげた。「イスラエルじんで、しかもどうぞくひとつけました。」トビトはった。「そのひとをここにんできなさい。わがよ、かれがどのぞくで、どのけいぞくするのか、また、しんらいしておまえいっしょってもらえるひとなのかをりたいのだ。」

10そこでトビアはそとて、ラファエルにった。「わかものよ、ちちがあなたをんでいます。」ラファエルがはいってトビトのもとにくと、さきにトビトがあいさつをした。ラファエルは、「あなたにおおくのよろこびがありますように」とこたえた。しかしそのことけてトビトはった。「わたしになんよろこびがありましょうか。わたしはえず、てんひかりることができないのです。もう二ひかりることのないにんのように、くらやみかいにいるのです。きていても、にんたちのかいにいるようなものです。ひとこえこえますが、姿すがたえないのです。」ラファエルはった。「げんしなさい。もなくかみがあなたをいやしてくださいます。げんすのです。」

そこでトビトはった。「わたしのむすトビアはメディアにこうとしています。いっしょってみちあんないをしていただけませんか。きょうだいよ、ほうしゅうげます。」ラファエルはこたえた。「いっしょきましょう。わたしはどのかいどうもよくっています。メディアにき、そのほうへいあるまわりました。さんがくたいとそのあたりのかいどうもよくっています。」11トビトはさらたずねた。「きょうだいよ、あなたはどのいえがら、どのけいぞくしているのですか。おしえてください。」12ラファエルはった。「なぜけいひつようがあるのですか。」トビトはこたえた。「わたしは、あなたがだれのであり、なんというまえなのか、じつりたいのです。」13そこでラファエルはこたえた。「わたしはあなたのどうぞくひとだいなハナニアのアザリアです。」14トビトはかれった。「きょうだいよ、いのります。わたしがあなたのいえがらじょうりたいとねがったことで、はらてないでください。あなたはわたしのどうぞくで、すぐれたすじかたです。わたしはだいなセメリアのふたむすハナニアとナタンをよくっておりました。かれらはよくわたしとともにエルサレムにき、いっしょれいはいをしたものです。かれらは、みちはずすことのないひとびとでした。あなたのどうぞくはすばらしいひとばかりです。あなたのせんもすばらしいひとびとです。げんっててください。」15トビトはつづけてった。「わたしは、あなたに一にち一ドラクメのほうしゅうはらい、そのほか、むすどうようひつようものげます。むすいっしょってください。16ほうしゅうをはずみましょう。」ラファエルはった。「むすさんとともまいりましょう。しんぱいにはおよびません。けんのないたびですから、わたしたちはげんってもどってます。」17トビトはった。「きょうだいよ、あなたにしゅくふくがありますように。」

たびじゅんははかなしみ

それからかれむすトビアをんで、った。「わがよ、たびたくをし、どうぞくのこのひとかけなさい。てんかみが、かのでおまえたちをまもり、にわたしのもとにもどしてくださるように。わがよ、かみ使つかいがみちみちまえたちとともあゆみ、たびをさせてくださるように。」トビアはたびにつくためいえて、ちちははくちづけした。トビトはった。「げんってなさい。」

18しかしははかなしんで、トビトにった。「なぜむすかせるのですか。かれはわたしたちのつえとして、いつもわたしたちのそばにいてくれるはずではなかったのですか。19それほどおかねたいせつなのですか。むすいのちえられるものではありません。20わたしたちはしゅによってかされているのですから、いまのままでじゅうぶんです。」21そこでトビトはかのじょった。「しんぱいするな。わたしたちのむすげんかけ、またもどってる。ふたたげんでおまえのもとにもどってに、おまえかれえるのだ。あのふたのことはしんぱいするな。おそれるな。22かみ使つかいがむすのよいどうはんしゃとなってくれるから、たびじゅん調ちょうにいき、むすげんもどってるにちがいない。」

さかなかく

6

1そこでハンナはくのをやめておとなしくなった。2そこでむすトビアはてん使ともしゅっぱつした。トビアのいぬかれらについてった。ふたたびつづけ、あるばんチグリスがわのほとりでかすことになった。3トビアはかわあしあらおうとして、りてった。すると、一ぴきおおきなさかなかわからがり、トビアのあしひとみにしようとしたので、かれさけごえをあげた。4てん使ラファエルはった。「つかまえなさい。しっかりとさかなつかまえてはなさないように。」そこでトビアはさかなをしっかりとつかまえて、りくげた。5ラファエルはった。「さかなき、たんのうとしんぞうかんぞうしてってきなさい。ほかのところはててしまいなさい。さかなたんのう、しんぞうかんぞうくすりとしてやくつからです。」6そこでトビアはさかなき、たんのう、しんぞうかんぞうあつめ、いてべ、のこりはまとめてててしまった。ふたともたびつづけ、ついにメディアのちかくにたどりついた。7そこで、トビアはラファエルにたずねた。「きょうだいアザリア、さかなたんのう、しんぞうかんぞうにはどんながあるのですか。」8そこでラファエルはこたえた。「さかなしんぞうかんぞうは、あくあくれいりつかれているおとこおんなまえでいぶしなさい。そうすれば、あくれいどものどんなちからえてしまい、こんいっさいそのひとおよぶことはありません。9たんのうは、にできているしろまくり、そのぶんいききかけなさい。そうすれば、くなります。」

ラファエル、サラをめとるようトビアにすすめる

10メディアほうはいり、エクバタナにちかいところまでたとき、11ラファエルは、「きょうだいトビア」とった。トビアは、「なんでしょうか」とこたえた。ラファエルはった。「こんはラグエルのところにまらなくてはなりません。ラグエルはあなたのしんせきたり、サラというむすめがいます。12サラひとのほかにむすむすめもいません。あなたは、かのじょけつえんなかでだれよりも、かのじょをめとりかのじょちちざいさんそうぞくするかくあるものです。このむすめりょぶかく、ゆうがあり、たいへんうつくしく、ちちおやもすばらしいじんぶつです。」13ラファエルはことつづけた。「あなたには、かのじょをめとるかくがあるのです。きょうだいよ、わたしのことしたがいなさい。わたしはこんこのむすめのことでちちおやそうだんし、あなたとかのじょこんやくめましょう。そしてラゲスからもどったときにけっこんしきげるのです。ラグエルは、あなたがだれよりもむすめをめとるけんっていることをっているので、むすめがあなたとけっこんするのをさまたげたり、おとことつがせたりすることは、けっしてできないのです。そのようなことをすれば、モーセのしょさだめにそむいてあたいするつみおかすことになります。さあきょうだいよ、わたしのことしたがいなさい。こん、わたしはこのむすめのことではなしをし、こんやくめましょう。そしてラゲスからもどったときに、かのじょをもらいけ、わたしたちといっしょいえれてかえるのです。」

14そこでトビアはラファエルにった。「きょうだいアザリア、くところによれば、このむすめいままでに七にんおとことつがされたが、おとこたちはしょとこはいるとそのつど、んでしまったということです。そしてあくかれらをころしたのだといううわさをきました。15わたしはこわいのです。──あくはあのむすめにはがいくわえず、かのじょちかづこうとするおとこころしてしまうのですから。わたしはちちにとってたったひとむすです──わたしがんでしまうと、ちちははかなしみのあまりんでしまうのではないかと、それがしんぱいなのです。ちちははほうむむすはわたしのほかにはいないのです。」16すると、ラファエルはった。「ちちけいからつまをめとるようにとめいじたちちおやいましめをわすれたのですか。さあきょうだいよ、わたしのうとおりにしなさい。あくのことはしんぱいせず、サラをめとりなさい。こんかならふたいっしょになるでしょう。17しょとこはいるとき、さかなかんぞうしんぞうってき、こうをたいてそのうえきなさい。そうすれば、においがちこめ、18あくはそれをかいでし、二とあのむすめのところには姿すがたあらわすことはないでしょう。そしていっしょになるまえに、まずふたともがり、あなたがたのうえあわれみとすくいがあるようにてんしゅいのもとめなさい。おそれることはありません。はじまるまえに、このむすめはあなたのつまとしてさだめられていたのですから。かのじょあくからすくすのはあなたであり、かのじょはあなたとしょうがいともにするのです。きっとふたあいだどもたちがさずけられ、どもたちはあなたにとって、あいすべきものとなるでしょう。しんぱいするのはやめなさい。」トビアは、サラがちちけいぞくするうちむすめであることをラファエルからくと、かのじょふかあいするようになり、こころかのじょかたむすけられたのである。

ラグエルとの

7

1エクバタナにはいると、トビアはラファエルにった。「きょうだいアザリア、すぐにしんぞくのラグエルのところにれてってください。」そこで、ラファエルはかれをラグエルのいえれてった。なかにわぐちのところにラグエルがすわっていた。まずかれらがラグエルにあいさつをし、つぎにラグエルがかれらにった。「きょうだいたちよ、ようこそいらっしゃいました。おげんなによりです。」そしてかれらをいえなかみちびれ、2つまのエドナにった。「このわかものは、わたしのきょうだいトビトになんとよくていることか。」3エドナはたずねた。「きょうだいがた、あなたがたはどこからいらっしゃったのですか。」ふたこたえた。「わたしたちはニネベでしゅうとなっているナフタリぞくものです。」4エドナはさらたずねた。「あなたがたは、わたしたちのきょうだいトビトをごぞんじですか。」かれらは、「っています」とこたえた。エドナはつづけた。「かれげんでしょうか。」5かれらはこたえた。「たっしゃらしています。」そしてトビアはくわえた。「かれはわたしのちちです。」6するとラグエルはがり、あいじょうめてくちづけをして、なみだながした。7ラグエルはった。「しゅくふくがあなたにあるように。あなたのちちおやはすばらしいひとです。ほどこしにはげただしいひとしつめいするとは、なんとさんなことか。」それからトビアのくびきついていた。8つまエドナもむすめサラもトビトのためになげかなしんだ。9ラグエルはひつじれから一ぴきひつじしてほふり、かれらをこころからもてなした。

トビアとサラのけっこん

さてかれらがからだきよあらってしょくたくいたとき、トビアはラファエルにった。「きょうだいアザリア、うちむすめサラをわたしにくれるよう、ラグエルにたのんでください。」10ラグエルはこのことき、トビアにった。「こんおおいにんだりべたりしてたのしんでください。きょうだいよ、あなたがいには、むすめサラをめとるのにふさわしいものはいないのですから。あなたはもっとちかけつえんものなので、あなたがいおとこむすめとつがせることは、わたしにもゆるされていません。しかし、よ、ほんとうのことをいましょう。11わたしはどうぞくの七にんおとこむすめあたえました。ところが、ひとれいがいもなくしょとこんでしまったのです。でも、そんなことはにせず、いしなさい。しゅいようにしてくださるでしょう。」しかしトビアはった。「あなたが、わたしのことをはっきりめてくださるまで、けっしてみもべもしません。」そこで、ラグエルはった。「ではそうしましょう。モーセのしょさだめにしたがって、むすめをあなたにあたえましょう。むすめがあなたのつまになることは、てんさだめでもあったのです。あなたのうちであるこのむすめれてきなさい。いまからのち、あなたはむすめおっとであり、むすめはあなたのつまです。むすめきょからいつまでもあなたのものです。よ、てんしゅこんあわれみとへいあんのうちにあなたがたをまもってくださるように。」

12それからラグエルがサラをぶと、サラはかれのもとにた。そこでラグエルはかのじょり、トビアにわたしてった。「むすめをあなたにつまとしてあたえるようめいじているモーセのりっぽうさだめにしたがって、かのじょれてきなさい。かのじょをめとり、にあなたのちちのところへれてきなさい。てんかみがあなたがたをみちびき、へいあんをおあたえくださるように。」13そこでラグエルは、つまエドナをび、パピルスってるようにめいじた。そしてモーセのりっぽうさだめにしたがって、サラをつまとしてあたえるというけっこんけいやくしるした。14それからいちどうんだりべたりした。15ラグエルはつまエドナをせてった。「べつようし、サラをそこにれてきなさい。」16そこでエドナはってとこととのえ、ラグエルからめいじられたとおりサラをそこへともなった。エドナはサラのことでいたが、なみだをふくとサラにった。17むすめよ、げんをおし。てんしゅが、おまえかなしみをよろこびにえてくださるように。むすめよ、げんをおし。」そしてエドナはった。

あくついほう

8

1いちどうしょくえ、やがてとこかんとなった。そこでひとびとは、トビアをサラのれてった。2トビアはラファエルのことおもし、さかなかんぞうしんぞうふくろからし、こうをたいてそのうえいた。3さかなのにおいがあくはらい、あくはエジプトのほうげてった。そこでラファエルはあとい、あくらえて、そのあししばげた。

トビアとサラのいの

4ひとびとふためた。トビアはどこからがり、サラにった。「あいするものよ、きなさい。ふたしゅいのり、しゅがわたしたちをあわれんですくってくださるようにねがもとめよう。」5そこでかのじょがり、ふたしゅすくいをもとはじめた。トビアはいのってった。

「わたしたちのせんかみよ、

あなたとあなたの

かぎりなくたたえられますように。

てんとあなたのつくられたすべてのものは

あなたをとこしえにほめたたえますように。

6あなたはアダムをつくり、

また、かれたすささとして

つまエバをおつくりになりました。

そしてそのふたから

じんるいまれてたのです。

そのときあなたはおおせられました。

ひとひとでいるのはよくない。

かれのために、かれおなじようなたすつくろう。』

7いまわたしは、このひとを

じょうよくにかられてではなく、

むねしたがってめとります。

どうか、わたしとこのひとをあわれみ

わたしたちがともとしいていくことが

できるようにしてください。」

8ふたいっしょに「アーメン、アーメン」とった。9そしてそのよるねむりにいた。

ラグエルのねん

ラグエルはきると、使つかいたちをびつけ、いっしょってはかった。10こうおもったからである。「たぶん、トビアはんでいる。わたしたちはまたちょうしょうまととなり、はずかしめをけるだろう。」11はかえると、ラグエルはいえはいり、つまんで、12った。「使つかいのおんなかせ、トビアがきているかさせなさい。んでいても、いまならだれにもからないようにほうむってしまうことができる。」

ラグエルのかんしゃいの

13使つかいのおんなってかりにをつけ、けた。はいってみると、ふたともじゅくすいしていた。14使つかいのおんなからて、トビアがきており、なんがいけていないことを、ラグエルとエドナにほうこくした。15そこでふたてんかみをほめたたえてった。

かみよ、あなたはすべてのきよさんをもって

ほめたたえられるべきおかたです。

わたしたちはみなあなたを

とこしえにほめたたえます。

16あなたをほめたたえます。

わたしによろこびをあたえてくださいましたから。

おそれていましたが、

あなたはわたしたちを

ゆたかにあわれんでくださいました。

17あなたをほめたたえます。

きょうだいまいのないあのふたを、

あなたはあわれんでくださいました。

しゅよ、ふたあわれみとすくいをあたえてください。

かれらがよろこびとあわれみのうちに、

しょうがいまっとうすることができますように。」

18それからラグエルは、けるまえはかめてしまうように、使つかいたちにめいじた。

こんれいしゅくえん

19さらかれは、しゅくえんのためパンをたくさんくようつまいつけ、ぶんちくれのところにき、二とううしと四ひきひつじれてて、使つかいたちにほふらせた。こうして、しょくじゅんはじまった。20ラグエルはトビアをんでった。「十四かんここにとどまり、わたしのところでしょくをし、いままでひどくくるしんできたむすめこころよろこばせてください。21わたしのぜんざいさんはんぶんり、にあなたのちちのもとにかえりなさい。あとはんぶんは、わたしとつまんだとき、あなたのものになります。わがよ、げんしなさい。わたしはあなたのちちであり、エドナはあなたのははなのです。わたしたちはいまからいつまでも、あなたとあなたのつまサラのそばにいます。わがよ、げんしなさい。」

ラファエル、ラゲスへたびする

9

1さてトビアはラファエルをんでった。2きょうだいアザリア、四にん使つかいと二とうのらくだをれてラゲスにき、ガバエルのもとにおもむいてしょうもんわたし、ぎんっててください。また、ガバエルをこんれいせきれててください。34ぞんじのとおり、ちちゆびかぞえてわたしのかえりをっています。一にちでもわたしのかえりがおくれれば、それだけちちしんぱいします。しかしラグエルがわたしにちかったこと、またわたしがそのちかいにさからえないことも、ごぞんじのとおりです。」

5そこでラファエルは四にん使つかいと二とうのらくだをれてメディアのラゲスにき、ガバエルのところにまった。そしてガバエルにしょうもんわたし、トビトのトビアがつまをめとり、ガバエルをこんれいしょうたいしているむねげた。するとガバエルはがり、ふういんのしてあるふくろかずをラファエルのまえかぞえ、それらをひとまとめにした。6そしてよくあさいっしょはやき、こんれいかった。ふたがラグエルのいえはいると、トビアがせきいていた。トビアはすぐにがり、ガバエルにあいさつをした。ガバエルはいてよろこび、トビアをしゅくふくしてった。「あなたのおとうさんは、ただしくりっあわれみにんでおり、すすんでほどこしをするひとです。あなたもりっひとです。しゅがあなたとあなたのつま、そしてあなたのちちうえ、あなたのつまははうえに、てんよりのしゅくふくをおあたえくださいますように。かみをほめたたえましょう。あなたは、わたしのいとこのトビトにそっくりです。」

トビトとハンナのしんぱい

10

1さてトビトはトビアがおうふくするのにかかるにっすうけいさんし、まいにちゆびかぞえてかえりをっていた。しかし、ていぎてもトビアは姿すがたせなかった。2そこでトビトはった。「もしかすると、ラゲスであしめをくっているのではないだろうか。あるいは、ガバエルがんだのでむすかねかえしてくれるひとがだれもいなくなってしまったのではないだろうか。」3トビトはたいへんしんぱいになってきた。4つまハンナも、「わたしのかわいいむすんでしまい、もうきてはいない」とむすのことでかなしくなりなげいてった。5「ああわがよ、なぜわたしのひかりであるおまえかせてしまったのだろうか。」6トビトはつまった。「きなさい。あれこれかんがえるのはやめなさい。むすだいじょうだ。ラゲスでよんどころないようたのにちがいない。むすどうはんしてくれたひとしんらいできるじんぶつだし、どうぞくひとだ。むすのことでしんぱいするのはやめなさい。そのうちきっとかえってる。」7しかしハンナはこたえた。「なにもおっしゃらず、ほうっておいてください。やすめはもうたくさんです。かわいいむすんでしまったのです。」そうってハンナはいえそとて、むすたびっていったみちをいつまでもつめていた。そしてもだれのことにもみみそうとはせず、しずくらくなるといえはいり、ひとばんじゅうこえをあげてなげかなしんで、ようともしなかった。

トビア、エクバタナを

ラグエルがむすめのためにもよおすとちかった十四かんにわたるこんれいいわいがわると、トビアはラグエルのところにった。「わたしをかえらせてください。ちちはははもはやわたしにえるとはおもっていないことでしょう。それがわたしにはよくかるのです。おさん、おねがいです。わたしをちちのもとにかえらせてください。いえのこしてきたちちがどんなあいなのかは、すでにおはなししてあるとおりです。」8ラグエルはトビアにった。「わがよ、ここにとどまってください。おちちうえトビトにはわたしから使つかいのものおくり、あなたのことをらせておきましょう。」9しかしトビアはった。「それはできません。おねがいです。わたしをちちのところにかえらせてください。」10そこでラグエルは、ってトビアにつまサラと、だんじょ使つかい、うしひつじ、ろばやらくだ、るいぎん、そしてどうるいなど、ぜんざいさんはんぶんあたえた。11かれらをたびたせるにあたり、トビアをめてった。「わがよ、さあげんきなさい。てんしゅどうちゅう、あなたがたとあなたのつまサラをしゅくふくされますように。できることなら、わたしのたっしゃなうちにあなたがたのどもたちにいたいものだ。」12またむすめサラにもった。「おまえあたらしいちちおやのところにきなさい。おまえんだわたしたちとおなじように、これからはかれらがおまえりょうしんなのだ。たびへいあんいのります。むすめよ、わたしがきているあいだは、おまえについてはいうわさだけをかせておくれ。」ラグエルはかれらにわかれをげて、たびたせた。エドナもトビアにった。「あいするトビア、しゅみちびきであなたがいえもどれますように。わたしがまだげんなうちに、あなたがたのどもたちにいたいものです。いましゅまえむすめをあなたにゆだねます。あなたはいっしょうむすめかなしませないでください。さようなら、わがよ。いまからわたしはあなたのははであり、サラはあなたのつまなのです。わたしたちいちどううえしょうがいしゅくふくがありますように。」エドナはふため、くちづけをしてたびたせた。13トビアは、てんしゅであり、ばんぶつおうであるかみさんしながら、げんよろこいさんでラグエルのもとをってった。かみたびせいこうさせてくださったからである。ラグエルはトビアにこうったのだった。「りょうしんきておられるかぎり、あなたはとうとうやまいなさい。」

りょうしんとのさいかい

11

1いっこうがニネベのすぐちかくにあるカセリンというまちちかづいたとき、2ラファエルはった。「トビア、わたしたちがちちうえいえのこしてきたときのことを、あなたはおぼえているでしょう。3さあおくさんよりさきいそいでき、みなまえいえなかじゅんしておこうではありませんか。」4ふたいっしょさきいそいだ。ラファエルはトビアに、「さあ、さかなたんのうをしなさい」とった。いぬふたあとからついてた。

5ハンナはむすたびったそのみちをじっとながめてすわっていた。6やってるのがトビアだとかると、トビトにらせた。「むすかえってました。いっしょったあのひともいます。」7トビアがちちおやちかづくまえに、ラファエルはかれった。「おちちうえはきっとまたえるようになります。8さかなたんのうをってあげなさい。それがくすりとなって、しろまくちぢみ、からはがれてしまいます。そしておちちうえりょくかいふくしてふたたひかりることができるのです。」9ハンナははしってってむすくびきつき、「むすよ、またえてよかった。もうおものこすことはありません」とうとこえをあげていた。10トビトもがり、おぼつかないあしりで、なかにわぐちからそとた。

トビトのりょくかいふく

トビアはちちのところにき、11さかなたんのうをり、ちちいききかけ、めてった。「おとうさん、しんぱいにはおよびません。」そしてたんのうをちちり、てをした。1213さらりょう使つかってちちふちからしろまくをはがした。トビトはトビアのくびきつき、14こえをあげていてった。「おまええる。わたしのひかりであるわがえる。」そしてことつづけた。「かみをほめたたえます。そのおおいなるをほめたたえます。かみのすべてのせいなるてん使をほめたたえます。かみおおいなるによってわたしたちがまもられますように。すべてのてん使をとこしえにほめたたえます。15かみはわたしをむちたれたが、いまむすトビアをまたることができるようになったのですから。」トビアもよろこび、ことかぎかみさんしながらいえはいり、ちちほうこくした。「わたしのたびせいこうでした。おかねってかえれましたし、ラグエルのむすめサラをつまとしてめとることもできました。もなく、つまとうちゃくします。ニネベのまちもんのすぐちかくまで、ているのです。」

トビトとサラの

16そこでトビトはよろこびにあふれ、かみをたたえながら、よめむかえるためにニネベのまちもんまでった。ニネベのひとびとは、トビトがだれにもかれず、しっかりしたあしりであるいてくのをおどろいた。17トビトはかれらのまえかみちからづよくたたえてった。「かみはわたしをあわれみ、ふたたえるようにしてくださった。」トビトは、むすトビアのつまサラにちかづき、しゅくふくしてった。「むすめよ、ようこそ。わたしはかみをほめたたえます。かみがあなたをわたしたちのもとにれててくださったのだ。あなたのおちちうえしゅくふくがあるように。そしてむすトビアとあなたのうえにもしゅくふくがあるように。ここはあなたのいえなのだ。おはいりなさい。みながあなたをしゅくふくし、よろこんでいるのです。さあおはいりなさい。」

その、ニネベにいるユダヤじんはこぞってよろこびのこえをあげた。18トビトのおいアヒカルとナダブもいえにやってて、ともいわった。

ラファエルへのはらいのそうだん

12

1こんれいえんわると、トビトはむすトビアをんでった。「トビア、おまえいっしょってくれたひとほうしゅうはらうのをくれぐれもわすれないように。すこおおめにはらいなさい。」2トビアはちちこたえた。「おとうさん、ほうしゅうはどのくらいはらいましょうか。かれがわたしといっしょかえってくれたざいさんはんぶんはらってもわたしはかまいません。3かれはわたしをみちびき、つまのうかいけつし、れいのおかねいっしょかえってくれました。そしてあなたをもいやしてくれたのです。どのくらいまではらいましょうか。」4トビトは、「かえってものはんぶんかれるのはとうぜんだ」とこたえた。5そこでトビアはラファエルをんでげた。「かえってものはんぶんほうしゅうとしてってください。これからのいのります。」

ラファエルのほんらい姿すがた

6ラファエルはトビトとトビアのふただけをせてった。「いつもかみをほめたたえていなさい。かみがあなたがたのためにしてくださったかずかずめぐみをすべてのひとびとげてかんしゃし、ひとびとかみをほめたたえ、さんうたをうたうようにしなさい。かみがなさったことを、けいねんをもってすべてのひとびとかたり、かみかんしゃすることをためらってはなりません。7おうみつかくされていてとうぜんだが、かみのもろもろのわざあきらかにされ、けいねんをもってつたえられるべきです。わざはげみなさい。そうすればわざわいにうことはありません。8しんじつをもっていのりをささげ、せいをもってぜんわざをするほうが、せいおこなってかねちとなるよりも、よいことです。かねをためむよりもぜんわざをするほうがはるかにすばらしいことなのです。9ぜんわざは、とおざけ、すべてのつみきよめます。ぜんおこなものは、しあわせなじんせいおくることができます。10つみおかし、せいおこなものは、ぶんしんこうにするのです。

11わたしはあなたがたに、しんじつをことごとくあきらかにし、なにひとつとしてかくすことはしません。『おうみつかくされていてとうぜんだが、かみのもろもろのわざけいねんをもってあきらかにされるべきだ』とはっきりとあなたがたにったとおりです。

12さて、いまだからうが、トビトよ、あなたがいのり、サラがいのったとき、そのいのりがとどけられるように、えいこうかがやしゅまえしをしたのは、だれあろうわたしだったのだ。あなたがしゃほうむっていたときもそうだった。13あなたがしょくにもをつけないで、ためらわずにき、しゃあつほうむったとき、14わたしはこころみるためにあなたのもとにつかわされてたのだ。かみはまた、あなたとよめのサラをいやすためにわたしをおつかわしになった。15わたしは、えいこうかがやしゅまえつかえている七にんてん使ひと、ラファエルである。」

16トビトとトビアのふたおどろいてひれし、おそれおののいた。17ラファエルはふたげた。「おそれることはない。あんしんしなさい。とこしえにかみをほめたたえなさい。18わたしがあなたがたとともにいたのは、あなたがたにこうっていたからというより、かみがそうのぞまれたからである。かみをほめたたえ、さんうたをささげなさい。19わたしがじっさいにはなにべなかったことはいまかりでしょう。べているようにえていただけです。20さあ、じょうしゅをほめたたえ、かみかんしゃをささげなさい。わたしは、わたしをつかわされたかたのもとにのぼってく。あなたがたにこったすべてのことしるしなさい。」こうってラファエルはてんのぼってった。

21トビトとトビアはがったが、もはやラファエルの姿すがたえなかった。22ふたかみをほめたたえ、さんうたをうたい、かみかんしゃをささげた。かみ使つかいがかれらにあらわれ、このようにだいなことをかみおこなってくださったからである。

トビトのさん

13

1トビトはさんしてった。

「ほめたたえよ、

とこしえにきておられるかみとそのはいを。

2かみむちつ。しかしまたあわれまれる。

そこく。

しかしまたおおいなるほろびよりみちびされる。

かみのがれうるものは一つもない。

3イスラエルのたみよ、しょこくひとびとまえ

かみかんしゃをささげよ。

かみはあなたがたをしょこくらされたが、

4そこにおいてさえ、ぶんだいさをしめされた。

すべてのひとびとまえかみさんせよ。

かみはわたしたちのしゅであり、

わたしたちのちち

とこしえにわたしたちのかみである。

5あなたがたのもろもろのあくのゆえに、

あなたがたをむちち、しょこくらされるが、

あなたがたをあわれみ、

すべてのくにぐにからすくされる。

6こころくし、たましいくしてかみかい、

まえしんじつおこなえ。

そうすれば、かみもあなたがたにかい、

もはやそのかおかくすことはなさらない。

かみがあなたがたのためになされたわざよ。

ことくしてかみかんしゃせよ。

せいしゅ、とこしえのおうであるかみさんせよ。

〔わたしはしゅうかみかんしゃをささげ、

かみちからと、そのだいさをつみぶかたみしめそう。

つみびとたちよ、かみかえり、

かみまえせいおこなえ。

あなたがたはらないのか。

かみは、あなたがたをよろこむかえ、

あわれんでくださるのだ。

7わたしはかみさんし、

わたしのたましいてんおうをほめたたえ、

そのだいさをよろこうたう。

8エルサレムのすべてのひとくちひらき、

かみかんしゃをささげよ。

9せいなるみやこエルサレム、

かみはおまえらのあくのゆえに、

まえむちたれる。

だが、せいおこなうなら、

ふたたびそのらをあわれまれる。

10しゅにふさわしくかんしゃをささげ、

とこしえのおうをほめたたえよ。〕

そうすればふたたび、おまえてんまくは、

よろこびのうちにおまえのためにてられる。

かみがすべてのしゅうたみを、

まえのうちにまわせてよろこばせ、

すべてくるしみなやものを、

まえもとでとこしえにあいしてくださるように。

11おおいなるひかりが、すみずみにまで、かがやわたる。

しょこくひとびととおくから、おまえのもとにやってる。

てのすべてのひとびとが、

せいなるおまえしたい、てんおうのために、

もろもろのささものたずさえてやってる。

かぎりなく、ひとびとはおまえよろこうたい、

えらばれたみやこであるおまえをとこしえにうたう。

12まえをあしざまにかたものは、すべてのろわれる。

まえほろぼし、じょうへきこわし、とうかいし、

いえいえはなものも、すべてのろわれる。

しかし、おまえおそうやまものみなしゅくふくされる。

13って、せいおこなものたちのためによろこうたえ。

かれらはすべて、おまえのもとにあつめられ、

とこしえのしゅをほめたたえるのだから。

14まえあいするものたちはさいわいだ。

まえへいよろこものたちはさいわいだ。

まえなんのためにこころいためるものさいわいだ。

かれらはおまえのゆえによろこび、

まえのすべてのよろこびをとこしえにる。

15わたしのたましいよ、だいおうしゅをほめたたえよ。

16エルサレムはてられ、

かみがとこしえにまわれるみやことなる。

わたしはしあわせなものとなる。

もしわたしのそんなかで、えらばれのこったものが、

エルサレムのえいこうてんおうかみを、

ほめたたえることができるならば。

エルサレムのどのもんも、

サファイアとエメラルドで、

そのすべてのじょうへきは、

こうほうせきつくられる。

エルサレムのもろもろのとうは、おうごんで、

そのきょうへきは、じゅんきんつくられる。

17エルサレムのとおりは、

ルビーや、オフィルのいしでちりばめられる。

18エルサレムのどのもんも、よろこびのうたをうたい、

エルサレムのいえいえとなえる。

『ハレルヤ。ほめたたえよ。イスラエルのかみを』と。

かみせいなるを、

とこしえにいつまでもほめたたえるもの

しゅくふくされる。」

トビトのさいすす

14

1こうしてトビトはさんいのりをえた。かれは百十二さいやすらかにいきり、ニネベであつほうむられた。2えなくなったのは六十二さいのときだったが、りょくかいふくしたのちは、めぐまれたせいかつおくり、ぜんわざつづけた。かれかみをほめたたえ、かみだいさのゆえに、かんしゃをささげることをやめなかった。3のぞんで、トビトはむすトビアをび、つぎのようにさとしてった。「トビア、おまえどもたちをれ、4メディアのほうのがれなさい。ナホムがかたったニネベにたいするかみけいこくはきっとじつげんする。アッシリアとニネベにたいしては、すべてわれたとおりになる。かみつかわされたイスラエルのげんしゃたちがかたったことは、ことごとくじょうじゅする。かみけいこくのうち一つとしてじょうじゅしないものはなく、すべてさだめられたときじょうじゅする。メディアにいるほうが、アッシリアやバビロンにいるよりもあんぜんだ。わたしはかくしんしているが、かみかたられることはみなじょうじゅし、かみことは一つとしてになることはない。イスラエルのむわたしたちのどうほうひとのこらずらされ、そのめぐまれたからしゅうとなってられる。イスラエルのはことごとくとなり、サマリアもエルサレムもててしまう。かみいえはらわれ、しばらくはかなしみにつつまれる。5しかしかみふたたかれらをあわれみ、イスラエルのかえり、ぶんいえさいけんされる。しかしさいけんされても、さだめられたときるまでは、もとどおりにはならない。そのときれば、すべてのひとびとしゅうからもどり、エルサレムをかがやかしくさいけんし、イスラエルのげんしゃたちがかたったように、かみいえもエルサレムにさいちくされる。6かいのあらゆるくにとそのひとびとしゅかえり、こころからかみおそれ、いつわりをもってかれらをあざむまどわすぐうぞうをすべてる。7そしてとこしえのかみただしくほめたたえる。こころからかみしたがうイスラエルのたみは、そのすくわれてエルサレムにあつめられ、アブラハムのでいつまでもみ、へいおんせいかつおくり、そのかれらのものとなる。かみこころからあいするものよろこび、つみおかせいおこなもののすべてのしょからえうせる。

89さあイスラエルのたみよ、あなたがたにめいじる。こころからかみつかえ、かみのぞまれることおこないなさい。あなたがたのどもたちがいつもせいおこない、ぜんわざはげみ、かみしたがい、どんなときでもちからくしてこころからかみをほめたたえるようにおしえなさい。

さあわがトビア、ニネベからくのだ。いつまでもとどまろうとしてはならない。10ははおやをわたしのかたわらにほうむってしまったら、そののうちにニネベのまちあとしなさい。わたしのるところ、このまちではおおくのせいおこなわれ、もろもろのいつわりがはびこっているのに、ひとびとはじともおもっていない。トビア、そだてのおやアヒカルにナダブがなにをしたかよくかんがえてみなさい。アヒカルはきながらはかめられたのではなかったか。しかしかみはナダブがまえおこなったれつこうばつあたえられた。すなわち、アヒカルはふたたたが、ナダブはえいえんくらやみちてしまった。アヒカルをころそうとしたからである。アヒカルはぜんわざはげんでいたので、ナダブがけたわなのがれることができ、ぎゃくにナダブしんわなみ、いのちとしたのだった。11トビア、よくかんがえてみなさい。ぜんわざをすることがどんなえきみ、せいおこなうことがどんながいをもたらすか。せいおこなうことはにほかならないのである。わたしのいのちももうわりだ。」ひとびとがトビトをとこかせるとかれいきった。そしてあつほうむられた。

そののトビア

12ははおやんだとき、トビアはちちかたわらにほうむった。トビアとつまサラはメディアのうつり、エクバタナでサラのちちラグエルとともんだ。13トビアはつまとしいたりょうしんをねんごろにし、かれらがくなるとメディアのエクバタナにほうむった。こうしてかれはラグエルのいえぶんちちトビトのいえりょうほうぐこととなった。14トビアは百十七さいてん寿じゅまっとうした。15かれむかえるまえに、ニネベのまちめつぼうきしたのである。また、メディアのおうキアクサレスがらえてメディアにれてた、ニネベのりょたちのありさまをもた。ニネベとアッシリアにたいしてかみがなされたすべてのことのゆえに、トビアはかみをほめたたえた。かれいきまえに、ニネベにこったことをよろこび、とこしえのしゅなるかみさんした。

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