聖書 新共同訳 旧約聖書

日本聖書協会

ル ツ 

のこされたナオミ

1

1おさめていたころ、きんくにおそったので、あるひとつまふたむすれて、ユダのベツレヘムからモアブのうつんだ。2そのひとをエリメレク、つまはナオミ、ふたむすはマフロンとキルヨンといい、ユダのベツレヘムしゅっしんのエフラタぞくものであった。かれらはモアブのき、そこにんだ。3おっとエリメレクは、ナオミとふたむすのこしてんだ。

4むすたちはその、モアブのおんなつまとした。ひとはオルパ、もうひとはルツといった。十ねんほどそこにらしたが、5マフロンとキルヨンのふたに、ナオミはおっとふたむすさきたれ、ひとのこされた。6ナオミは、モアブのってくにかえることにし、よめたちもしたがった。しゅがそのたみかえりみ、ものをおあたえになったということをかのじょはモアブのいたのである。7ナオミはれたしょあとにし、ふたよめもついてった。

ルツのけつ

こくユダにかえみちすがら、8ナオミはふたよめった。

ぶんさとかえりなさい。あなたたちはんだむすにもわたしにもよくくしてくれた。どうかしゅがそれにむくい、あなたたちにいつくしみをれてくださいますように。9どうかしゅがそれぞれにあたらしいとつさきあたえ、あなたたちがやすらぎをられますように。」

ナオミがふたわかれのくちづけをすると、ふたこえをあげていて、10った。「いいえ、いっしょにあなたのたみのもとへかえります。」

11ナオミはった。

「わたしのむすめたちよ、かえりなさい。どうしてついてるのですか。あなたたちのおっとになるようなどもがわたしのたいないにまだいるとでもおもっているのですか。

12わたしのむすめたちよ、かえりなさい。わたしはもうとしをとって、さいこんなどできはしません。たとえ、まだのぞみがあるとかんがえて、こんにでもだれかのもとにとつぎ、どもんだとしても、13そのたちがおおきくなるまであなたたちはつつもりですか。それまでとつがずにごすつもりですか。わたしのむすめたちよ、それはいけません。あなたたちよりもわたしのほうがはるかにつらいのです。しゅがわたしにくだされたのですから。」

14ふたはまたこえをあげていた。オルパはやがて、しゅうとめにわかれのくちづけをしたが、ルツはすがりついてはなれなかった。

15ナオミはった。

「あのとおり、あなたのあいよめぶんたみぶんかみのもとへかえってこうとしている。あなたもあとってきなさい。」

16ルツはった。

「あなたをて、あなたにけてかえれなどと、そんなひどいことをいないでください。

わたしは、あなたのかれるところ

まりになるところまります。

あなたのたみはわたしのたみ

あなたのかみはわたしのかみ

17あなたのくなるところでわたしも

そこにほうむられたいのです。

んでおわかれするのならともかく、そのほかのことであなたをはなれるようなことをしたなら、しゅよ、どうかわたしをいくにもばっしてください。」

18どうこうけつかたいのをて、ナオミはルツをせることをやめた。19ふたたびつづけ、ついにベツレヘムにいた。

うつろなこく

ベツレヘムにいてみると、まちじゅうふたのことでどよめき、おんなたちが、ナオミさんではありませんかとこえをかけてくると、20ナオミはった。

「どうか、ナオミ(こころよい)などとばないで、マラ(にがい)とんでください。ぜんのうしゃがわたしをひどいわせたのです。

21くときは、たされていたわたしを

しゅはうつろにしてかえらせたのです。

なぜ、こころよい(ナオミ)などとぶのですか。

しゅがわたしをなやませ

ぜんのうしゃがわたしをこうとされたのに。」

22ナオミはこうして、モアブまれのよめルツをれてモアブのり、かえってた。ふたがベツレヘムにいたのは、おおむぎれのはじまるころであった。

ボアズのこう

2

1ナオミのおっとエリメレクのいちぞくにはひとゆうりょくしんせきがいて、そのをボアズといった。2モアブのおんなルツがナオミに、「はたけってみます。だれかこうしめしてくださるかたうしろで、ひろわせてもらいます」とうと、ナオミは、「わたしのむすめよ、っておいで」とった。3ルツはかけてき、れをするのうたちのあとについてはたけひろったが、そこはたまたまエリメレクのいちぞくのボアズがしょゆうするはたであった。

4ボアズがベツレヘムからやってて、のうたちに、「しゅがあなたたちとともにおられますように」とうと、かれらも、「しゅがあなたをしゅくふくしてくださいますように」とった。5ボアズがのうかんとくしている使つかいのひとに、そこのわかおんなだれむすめかといた。6使つかいはこたえた。

「あのひとは、モアブのからナオミといっしょもどったモアブのむすめです。7れをするひとたちのあとについてむぎたばあいだひろあつめさせてください』とねがて、あさからいままでずっとどおしではたらいておりましたが、いまひといきれているところです。」

8ボアズはルツにった。

「わたしのむすめよ、よくきなさい。よそのはたけひろいにくことはない。ここからはなれることなく、わたしのところのおんなたちといっしょにここにいなさい。9れをするはたけたしかめておいて、おんなたちについてきなさい。わかものにはじゃをしないようにめいじておこう。のどかわいたら、みずがめのところって、わかものがくんでおいたみずみなさい。」

10ルツは、かおにつけ、ひれしてった。

「よそもののわたしにこれほどをかけてくださるとは。こうしめしてくださるのは、なぜですか。」

11ボアズはこたえた。

しゅじんくなったあとも、しゅうとめにくしたこと、りょうしんまれきょうてて、まったらぬくにたことなど、なにもかもつたいていました。

12どうか、しゅがあなたのおこないにゆたかにむくいてくださるように。イスラエルのかみしゅがそのつばさのもとにのがれてたあなたにじゅうぶんむくいてくださるように。」

13ルツはった。

「わたしのしゅよ。どうぞこれからもこうしめしてくださいますように。あなたのはしためのひとにもおよばぬこのわたしですのに、こころれることをかけていただいて、ほんとうなぐさめられました。」

14しょくのとき、ボアズはルツにこえをかけた。

「こちらにて、パンをすこべなさい、ひとれずつひたして。」

ルツがれをするのうたちのそばにこしろすと、ボアズはむぎをつかんであたえた。ルツはべ、りてのこすほどであった。15ルツがこしげ、ふたたひろはじめようとすると、ボアズはわかものめいじた。

むぎたばあいだでもあのむすめにはひろわせるがよい。めてはならぬ。16それだけでなく、ったたばからいてとしておくのだ。あのむすめがそれをひろうのをとがめてはならぬ。」

17ルツはこうしてれるまではたけひろあつめた。あつめたってれたおおむぎは一エファほどにもなった。18それをってまちかえると、しゅうとめはよめひろあつめてきたものにをみはった。ルツはりてのこしたものした。

19しゅうとめがルツに、「きょいったいどこでひろあつめたのですか。どこではたらいてきたのですか。あなたにをかけてくださったかたしゅくふくがありますように」とうと、ルツは、だれのところではたらいたかをしゅうとめにほうこくしてった。「きょはたらかせてくださったかたをボアズとっておられました。」

20ナオミはよめった。

「どうか、きているひとにもんだひとにもいつくしみをしまれないしゅが、そのひとしゅくふくしてくださるように。」

ナオミはさらつづけた。

「そのひとはわたしたちとえんつづきのひとです。わたしたちのいえやさないようにするせきにんのあるひとひとです。」

21モアブのおんなルツはった。

「そのかたはわたしに、『うちのれがぜんむまで、うちのわかものからけっしてはなれないでいなさい』とってくださいました。」22ナオミはよめルツにこたえた。

「わたしのむすめよ、すばらしいことです。あそこではたらおんなたちといっしょはたけけるとは。よそのはたけで、だれかからひどいわされることもないし。」

23ルツはこうして、おおむぎむぎれがわるまで、ボアズのところではたらおんなたちからはなれることなくひろった。

こんやく

3

ルツはしゅうとめといっしょらしていたが、1しゅうとめのナオミがった。

「わたしのむすめよ、わたしはあなたがしあわせになるさきさがしてきました。2あなたがいっしょはたらいてきたおんなたちのやとぬしボアズはわたしたちのしんせきです。あのひとこんばんむぎおおむぎをふるいけるそうです。3からだあらってこうり、かたけをってむぎくだってきなさい。ただあのひとしょくませ、わるまではづかれないようにしなさい。4あのひとやすむとき、そのしょとどけておいて、あとでそばへき、あのひところもすそおおってよこになりなさい。そのあとすべきことは、あのひとおしえてくれるでしょう。」

5ルツは、「われるとおりにいたします」とい、6むぎくだってき、しゅうとめにめいじられたとおりにした。7ボアズはしょくをし、わるとここよくなって、やままれたむぎたばはしよこたえた。ルツはしのり、かれころもすそおおってよこになった。

8はんになってボアズはさむがし、さぐりでおおいをさがした。ると、ひとおんなあしもとにていた。9「おまえだれだ」とボアズがうと、ルツはこたえた。「わたしは、あなたのはしためルツです。どうぞあなたのころもすそひろげて、このはしためをおおってください。あなたはいえやさぬせきにんのあるかたです。」

10ボアズはった。

「わたしのむすめよ。どうかあなたにしゅしゅくふくがあるように。あなたは、わかものなら、とみのあるなしにかかわらずいかけるというようなことをしなかった。いまあなたがしめしたごころは、いままでのごころよりまさっています。11わたしのむすめよ、しんぱいしなくていい。きっと、あなたがうとおりにします。このまちのおもだったひとみな、あなたがりっじんであることをよくっている。12たしかにわたしもいえやさぬせきにんのあるにんげんですが、じつはわたしじょうにそのせきにんのあるひとがいる。13こんはここでごしなさい。あさそのひとせきにんたすというのならそうさせよう。しかし、それをこのまないなら、しゅきておられる。わたしがせきにんたします。さあ、あさまでやすみなさい。」

14ルツは、けるまでボアズのあしもとでやすんだ。

ルツはまだひとけのつかないくらいうちにきた。むぎかのじょたことがひとられてはならない、とボアズがかんがえたからである。15ボアズはった。

ってきたかたけをして、しっかりつかんでいなさい。」

ルツがしっかりとつかんだかたけのなかおおむぎを六ぱいはかってルツにわせると、ボアズはまちもどってった。

16ルツがしゅうとめのところへかえると、ナオミは、「むすめよ、どうでしたか」とたずねた。ルツはボアズがしてくれたことをもれなくつたえてから、17「この六ぱいおおむぎは、あなたのしゅうとめのところへぶらでかえすわけにはいかないとおっしゃって、あのかたがくださったのです」とうと、18ナオミはった。

「わたしのむすめよ、きがはっきりするまでじっとしていなさい。あのひとは、きょじゅうけっちゃくがつかなければ、かないでしょう。」

こうしょう

4

1ボアズがまちもんのところへのぼってってすわると、おりよく、ボアズがはなしていたとうしんせきひととおぎようとした。「かえしてここにおすわりください」とうと、そのひとかえしてきてすわった。2ボアズはまちちょうろうのうちから十にんえらび、ここにすわってくださいとたのんだので、かれらもすわった。3ボアズはそのしんせきひとった。

「モアブのからかえってたナオミが、わたしたちのいちぞくエリメレクのしょゆうするはたばなそうとしています。4それでわたしのかんがえをおみみれたいとおもったのです。もしあなたにせきにんたすおつもりがあるのでしたら、このさばきのにいるひとびとたみちょうろうたちのまえってください。もしせきにんたせないのでしたら、わたしにそうってください。それならわたしがかんがえます。せきにんっているひとはあなたのほかになく、わたしはそのつぎものですから。」

「それではわたしがそのせきにんたしましょう」とかれうと、5ボアズはつづけた。

「あなたがナオミのからはたるときには、くなったむすつまであるモアブのじんルツもらなければなりません。じんをそのぎょうさいこうするためです。」

6するとしんせきひとった。

「そこまでせきにんうことは、わたしにはできかねます。それではわたしのぎょうそこなうことになります。しんぞくとしてわたしがたすべきせきにんをあなたがたしてくださいませんか。そこまでせきにんうことは、わたしにはできかねます。」

7かつてイスラエルでは、しんぞくとしてのせきにんこうじょうにあたって、いっさいつづきをにんしょうするためには、とうしゃぶんはきものいであいわたすことになっていた。これが、イスラエルにおけるにんしょうつづきであった。8そのしんせきひとは、「どうぞあなたがそのひとをおりください」とボアズにって、はきものいだ。9ボアズはそこで、ちょうろうとすべてのたみった。

「あなたがたは、きょ、わたしがエリメレクとキルヨンとマフロンのさんをことごとくナオミのからったことのしょうにんになったのです。10また、わたしはマフロンのつまであったモアブのじんルツもってつまとします。じんをそのぎょうさいこうするため、またじんいちぞくきょうもんからえてしまわないためです。あなたがたは、きょ、このことのしょうにんになったのです。」

ひとびとしゅくふくかみしゅくふく

11もんのところにいたすべてのたみちょうろうたちはった。

「そうです、わたしたちはしょうにんです。あなたがいえむかれるじんを、どうか、しゅがイスラエルのいえてたラケルとレアのふたのようにしてくださるように。また、あなたがエフラタでとみし、ベツレヘムでをあげられるように。12どうか、しゅがこのわかじんによってあなたにだからをおあたえになり、タマルがユダのためにんだペレツのいえのように、ていめぐまれるように。」

13ボアズはこうしてルツをめとったので、ルツはボアズのつまとなり、ボアズはかのじょのところにはいった。しゅごもらせたので、ルツはおとこんだ。14おんなたちはナオミにった。

しゅをたたえよ。しゅはあなたをてることなく、いえやさぬせきにんのあるひときょあたえくださいました。どうか、イスラエルでそのがあげられますように。15そのはあなたのたましいかえらせるものとなり、ろうささえとなるでしょう。あなたをあいするよめ、七にんむすにもまさるあのよめがそのんだのですから。」

16ナオミはそのをふところにげ、やしなそだてた。17きんじょじんたちは、ナオミにどもまれたとって、そのまえけ、そのをオベドとけた。オベドはエッサイのちち、エッサイはダビデのちちである。

ダビデのけい

18ペレツのけいつぎのとおりである。

ペレツにはヘツロンがまれた。19ヘツロンにはラムがまれ、ラムにはアミナダブがまれた。20アミナダブにはナフションがまれ、ナフションにはサルマがまれた。21サルマにはボアズがまれ、ボアズにはオベドがまれた。22オベドにはエッサイがまれ、エッサイにはダビデがまれた。

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