聖書 新共同訳 旧約聖書

日本聖書協会

エ ス テ ル

クセルクセスおうしゅえん

1

1クセルクセスのだいのことである。このクセルクセスは、インドからクシュにいたるまで百二十七しゅうはいしゃであった。2そのころ、クセルクセスおうようさいまちスサでおうにつき、3そのせいだいねんに、しゅえんもよおし、だいじんしんのことごとく、ペルシアとメディアのぐんじんぞくおよびしょしゅうこうかんたちをまねいた。4こうしておうは、百八十にちちょうにわたってぶんくにがどれほどさかえ、そのりょくがどれほどとうとかがやかしいものであるかをしめした。5それがわると、おうなのかんしゅえんおうきゅうていえんもよおし、ようさいまちスサにものみなぶんじょうわずまねいた。6だいせきはしらからはしらへとこうはくみひもがわたされ、そこにじゅんぱくぬの、みごとな綿めんおりものむらさきまんまくが一れんぎんによってけられていた。また、みどりしろだいせきしんじゅがいこくようせき使つかったモザイクのゆかには、きんぎんながいすがならべられていた。7さけきょうするためのきんさかずきは一つ一つおもむきことにし、おうしつようのぶどうしゅが、おうかんだいさをしめすにふさわしく、しげもなくわれた。8しかし、さだめによってさけむことはいられてはいなかった。おうめいれいによってきゅうちょうたちは、ひとびとおもいどおりにさせていたからである。9おうワシュティもクセルクセスおうきゅう殿でんおんなのためのしゅえんもよおしていた。

おうワシュティの退たい

10なののことである。ぶどうしゅじょうげんになったクセルクセスおうは、そばちかつかえるかんがんメフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスの七にんめいじて、11かんむりけたおうワシュティをそうとした。そのうつくしさをこうかんおよびれっせきするたみせようというのである。おううつくしいひとであった。12ところが、おうワシュティはかんがんつたえたおうめいれいこばみ、ようとしなかった。おうおおいにげんそこね、いかりにえ、13けいけんんだけんじんたちにことはかった。おうしんぺんことがらはすべて、くにさだめやさばきにつうじているひとびとによってしんされることになっていた。14おうは、おうそっきんで、おうこくさいこうにある、ペルシアとメディアの七にんだいじんカルシェナ、シェタル、アドマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンをせた。15おうワシュティは、わたしがかんがんによってつたえためいれいしたがわなかった。このあいくにさだめによればおうをどのようにあつかうべきか。」16メムカンがおうだいじんいちどうかってった。「おうワシュティのなさったことは、ただおうのみならず、くにじゅうのすべてのこうかん、すべてのたみにとってごうわるいことです。17このおうけんわたりますと、おんなたちはみな、『おうワシュティはおうされても、おましにならなかった』ともうして、おっとけいべつるようになります。18きょこのにも、ペルシアとメディアのこうかんじんたちは、このおうけんいて、おうにおつかえするすべてのこうかんかってそうもうすにちがいありません。なんともじょくてきはらたしいことです。19もしもおこころかないますなら、『ワシュティがクセルクセスおうまえることをきんずる。おうくらいは、よりすぐれたおんなあたえる』とのめいれいおうしんくだしになり、これをペルシアとメディアのこくほうなかませ、かくていこうとなさってはいかがでしょうか。20しになったちょくれいがこのたいこくうらうらこえますと、おんなたちはみなぶんのいかんにかかわらずおっとうやまうようになりましょう。」

21おうにもだいじんたちにもこのはつげんてきせつであるとおもわれ、おうはメムカンのうとおりにした。22おうはいのすべてのしゅうちょくしょおくったが、それはしゅうごとにそのしゅうで、また、みんぞくごとにそのみんぞくげんかれていた。すべてのだんぶんいえしゅじんとなり、ぶんこくはなせるようにとのはからいからであった。

エステル、おうえらばれる

2

1そののちいかりのおさまったクセルクセスおうは、ワシュティとそのふるまい、かのじょくだしたけっていくちにするようになった。2おうつかえるじゅうたちはった。

おうのためにうつくしいおとめをさがさせてはいかがでしょうか。3ぜんこくかくしゅうとく使おくり、うつくしいおとめをひとのこらずようさいまちスサのこうきゅうあつめ、こうきゅうかんとくかんがんヘガイにたくし、よう姿うつくしくさせるのです。4おんにかなうむすめがいれば、ワシュティにおうになさってはいかがでしょうか。」

これはおうにかない、おうはそうすることにした。

モルデカイとエステル

5ようさいまちスサにひとのユダヤじんがいた。をモルデカイといい、キシュ、シムイ、ヤイルとつづくベニヤミンぞくけいぞくしていた。6このひとは、バビロンおうネブカドネツァルによって、ユダおうエコンヤとともにエルサレムかられてられたしゅうみんなかにいた。7モルデカイは、ハダサにりょうしんがいないので、そのこうけんにんとなっていた。かのじょがエステルで、モルデカイにはいとこにたる。むすめ姿すがたかおちもうつくしかった。りょうしんくしたので、モルデカイはかのじょぶんむすめとしてっていた。

8さて、おうめいれいさだめがはっされ、おおぜいむすめようさいまちスサのヘガイのもとにあつめられた。エステルもおうきゅうれてられ、こうきゅうかんとくヘガイにたくされた。9かれはエステルにこういだき、をかけた。さっそくしょうひんものあたえ、おうきゅうからえりきのじょかんにんかのじょにあてがい、かのじょじょかんたちとともこうきゅうとくべつあつかいした。10エステルは、モルデカイにめいじられていたので、ぶんぞくするみんぞくおやもとかさなかった。11モルデカイはエステルのあんづかい、どうあつかわれるのかをろうとして、まいにちこうきゅうにわまえったりたりしていた。

12十二かげつようかんわると、むすめたちはじゅんばんにクセルクセスおうのもとにれることになった。むすめたちには六かげつかんミルラこうで、つぎの六かげつかんほかのこうりょうしょうひんよう姿うつくしくすることがさだめられていた。13こうして、どのむすめおうのもとにされたが、こうきゅうからおうきゅうくにあたってむすめってきたいとのぞむものはなんでもあたえられた。14むすめよるき、あさかえってべつこうきゅうれてかれ、そくしつたちのかんとくかんがんシャアシュガズにたくされた。おうのぞまれ、しでされるのでなければ、だれもふたたくことはなかった。

15モルデカイのアビハイルのむすめで、モルデカイにむすめとしてられていたエステルにも、おうのもとにされるじゅんばんまわってきたが、エステルはこうきゅうかんとくかんがんヘガイのすすめるものがいに、なにのぞまなかった。エステルをひとみなかのじょうつくしいとおもった。16さて、エステルはおうきゅうのクセルクセスおうのもとにれてかれた。そのせいだいねんだい十のつき、すなわちテベトのつきのことである。17おうはどのおんなにもましてエステルをあいし、エステルはむすめたちのなかおうこうあいもっとめぐまれることとなった。おうかのじょあたまおうかんむりき、ワシュティにわるおうとした。18いで、おうせいだいしゅえんもよおして、だいじんしんをことごとくまねいた。これが、「エステルのしゅえん」である。さらに、おうしょしゅうたいめんぜいこくし、おうかんだいさをしめすにふさわしいいわいのしなあたえた。

19ふたたわかむすめあつめられたときのことである。モルデカイはおうきゅうもんすわっていた。20エステルはモルデカイにめいじられていたので、ぶんぞくするみんぞくおやもとかすことをしなかった。モルデカイにやしなわれていたときとどうよう、そのことしたがっていた。21さてそのころ、モルデカイがおうきゅうもんすわっていると、おうしつばんにんであるふたかんがんビグタンとテレシュがなにごとかにふんがいし、クセルクセスおうたおそうとはかっていた。22それをったモルデカイはおうエステルにらせたので、かのじょはモルデカイのでこれをおうげた。23さっそくこのけんそうされてあきらかにされ、ふたにつるされてしょけいされた。このけんおうまえきゅうていにっにゅうされた。

ハマンのさくりゃく

3

1そののち、クセルクセスおうはアガグじんハメダタのハマンをて、どうりょうだいじんのだれよりもたかにつけた。2おうきゅうもんにいるやくにんみな、ハマンがるとひざまずいてけいれいした。おうがそのようにめいじていたからである。しかし、モルデカイはひざまずかず、けいれいしなかった。3おうきゅうもんにいるやくにんたちはモルデカイにった。「なぜあなたはおうめいれいそむくのか。」4もこうわれたが、モルデカイはみみさなかった。モルデカイがぶんはユダヤじんだとっていたので、かれらはそれをたしかめるようにハマンにすすめた。5ハマンは、モルデカイがぶんにひざまずいてけいれいしないのをて、はらてていた。6モルデカイがどのみんぞくぞくするのかをらされたハマンは、モルデカイひとつだけではじゅうぶんだとおもい、クセルクセスのくにじゅうにいるモルデカイのたみ、ユダヤじんみなほろぼそうとした。7クセルクセスおうせいだい十二ねんだい一のつき、すなわちニサンのつきに、ハマンはぶんまえでプルとばれるくじをげさせた。つぎからつぎへとつづき、つぎからつぎへとつきうごなかで、だい十二のつきすなわちアダルのつきがくじにたった。

8ハマンはクセルクセスおうった。「おくにのどのしゅうにも、一つのどくとくみんぞくがおります。しょみんぞくあいだぶんさんしてみ、かれらはどのみんぞくのものともことなるどくほうりつゆうし、おうほうりつにはしたがいません。そのままにしておくわけにはまいりません。9もしぎょにかないますなら、かれらのこんぜつむねとするちょくしょつくりましょう。わたしはぎんまんキカルをかんたちにはらい、こっおさめるようにいたします。」10おうゆびをはずし、ユダヤじんはくがいしゃ、アガグじんハメダタのハマンにわたして、11った。「ぎんはおまえまかせる。そのみんぞくはおまえおもうようにしてよい。」

12こうしてだい一のつきの十三にちに、おうしょかんしょうしゅうされ、そうとくかくしゅうちょうかんかくみんぞくしゅちょうにあてて、ハマンのめいずるがままにちょくしょしるされた。それはかくしゅうごとにそのしゅうで、かくみんぞくごとにそのみんぞくげんで、クセルクセスおうによってしるされ、おうゆびいんしてあった。13きゅう使はこのちょくしょぜんこくおくとどけ、だい十二のつき、すなわちアダルのつきの十三にちに、しかもそののうちに、ユダヤじんろうにゃくなんにょわずひとのこらずほろぼされ、ころされ、ぜつめつさせられ、そのものぼっしゅうされることとなった。14このちょくしょうつしはかくしゅうくにさだめとしてぜんこくみんこうされ、ひとびとはそのそなえた。15きゅう使おうめいれいっていそいでしゅっぱつし、ようさいまちスサでもそのさだめがこうされた。スサのみやここんらんをよそに、おうとハマンはさけわしていた。

モルデカイ、エステルをせっとくする

4

1モルデカイはこといちじゅうると、ふくき、あらぬのをまとってはいをかぶり、みやこなかき、のうちたさけごえをあげた。2さらかれおうきゅうもんまえまでたが、あらぬのをまとってもんはいることはきんじられていた。3ちょくしょとどいたところでは、どのしゅうでもユダヤじんあいだおおきななげきがこった。おおくのものあらぬのをまとい、はいなかすわってだんじきし、なみだながし、たんにくれた。

4じょかんかんがんて、このことをおうエステルにげたので、かのじょじょうおどろき、あらぬのがせようとしてモルデカイにふくとどけた。しかし、モルデカイはそれをろうとしなかった。5そこでエステルはハタクをんでモルデカイのもとにつかわし、なにごとがあったのか、なぜこのようなことをするのかをろうとした。ハタクはおうつかえるかんがんで、おうのもとにつかわされてかのじょつかえていた。6ハタクはおうきゅうもんまえひろにいるモルデカイのもとにった。7モルデカイはこといちじゅう、すなわちユダヤじんぜつめつしてぎんこっはらむ、とハマンがったことについてくわしくかたった。8かれはスサでこうされたユダヤじんぜつめつきのうつしをたくし、これをエステルにせてせつめいするようにたのんだ。どうに、かのじょしんおうのもとにって、ぶんみんぞくのためにかんだいしょもとめ、たんがんするようにでんごんさせた。9ハタクはもどってモルデカイのことをエステルにつたえた。10エステルはまたモルデカイへのへんをハタクにゆだねた。11「このくにやくにんこくみんのだれもがよくっているとおり、おうきゅううちにわにおられるおうに、されずにちかづくものは、おとこであれおんなであれけいしょせられる、とほうりついちじょうさだめられております。ただ、おうきんしゃくべられるあいにのみ、そのものまぬかれます。三十にちこのかたわたくしにはおしがなく、おうのもとにはまいっておりません。」12エステルのへんがモルデカイにつたえられると、13モルデカイはふたたびエステルにおくった。「のユダヤじんはどうであれ、ぶんおうきゅうにいてだとかんがえてはいけない。14このときにあたってあなたがくちざしているなら、ユダヤじんかいほうきゅうさいのところからこり、あなたしんちちいえほろぼされるにちがいない。このときのためにこそ、あなたはおうくらいにまでたっしたのではないか。」15エステルはモルデカイにへんおくった。16さっそく、スサにいるすべてのユダヤじんあつめ、わたくしのためにみっばんだんじきし、いんしょくいっさいってください。わたくしじょかんたちとともに、おなじようにだんじきいたします。このようにしてから、さだめにはんすることではありますが、わたくしおうのもとにまいります。このためにななければならないのでしたら、かくでおります。」

17そこでモルデカイはり、すべてエステルにたのまれたとおりにした。

エステル、おうとハマンをしょうたいする

5

1それからみっのことである。エステルはおうしょうけ、おうきゅううちにわはいり、おうきゅうかってった。おうおうきゅうなかおうきゅうぐちかっておうすわっていた。2おうにわっているおうエステルをて、まんえつおもちで、にしたきんしゃくべた。エステルはちかづいてそのしゃくさきれた。3おうった。「おうエステル、どうしたのか。ねがいとあればくにはんぶんなりともあたえよう。」4エステルはこたえた。「もしおうのおこころかないますなら、きょわたくししゅえんじゅんいたしますから、ハマンといっしょにおましください。」5おうは、「さっそくハマンをさせなさい。エステルののぞみどおりにしよう」とい、おうとハマンはエステルがじゅんしたしゅえんおもむいた。6おうはぶどうしゅみながらエステルにった。「なにのぞみがあるならかなえてあげる。ねがいとあればくにはんぶんなりともあたえよう。」

7わたくしのぞみ、わたくしねがいはともうしますと」とエステルはった。8「もしおうのおこころかないますなら、もしとくべつはいりょをいただき、わたくしのぞみをかなえ、ねがいをおれくださるのでございましたら、わたくししゅえんじゅんいたしますから、どうぞハマンといっしょにおましください。おおせのとおりわたくしねがいをもうげます。」

9この、ハマンはうきうきとじょうげんがった。しかし、おうきゅうもんにはモルデカイがいて、ちもせずうごこうともしなかった。ハマンはこれをて、いかりがげてくるのをおぼえた。10だが、ハマンはせいしていえかえった。かれ使つかいをおくってしたしいともだちまねき、つまのゼレシュもどうせきさせた。11かれは、ぶんのすばらしいざいさんおおぜいむすについて、またおうからたまわったえいだいじんしんにまさるぶんえいしんについてもあますことなくかたかせた。12ハマンはさらった。「そのうえおうエステルはぶんしゅえんじゅんされ、おうをもてなされたが、おうのおともとしてだれをおのぞみになったかとえば、このわたしだけだった。もまたおういっしょすることになっている。13だが、おうきゅうもんすわっているユダヤじんモルデカイをるたびに、そのすべてがわたしにはむなしいものとなる。」14つまのゼレシュは、ハマンのしたしいともだちとくちをそろえてった。「五十アンマもあるたかはしらて、みょうちょうおうにモルデカイをそれにつるすようしんげんしてはいかがですか。おういっしょに、きっとたのしくしゅえんけます。」ハマンはこのことり、はしらてさせた。

モルデカイ、おうからえいける

6

1そのおうねむれないので、きゅうていにっってさせ、げさせた。2そこには、おうしつばんにんであるふたかんがん、ビグタンとテレシュがおうたおそうとはかり、これをモルデカイがらせたというろくがあった。3そこでおうった。「このために、どのようなえいしょうさんをモルデカイはけたのか。」そばにつかえるじゅうたちはこたえた。「なにけませんでした。」4おうった。「にわだれがいるのか。」ハマンがおうきゅうそとにわていた。じゅんしたはしらにモルデカイをつるすことを、おうしんげんするためである。5じゅうたちが、「ハマンがにわています」とうと、おうは、「ここへとおせ」とった。6ハマンがすすると、おうは、「おうえいあたえることをのぞものには、なにをすればよいのだろうか」とたずねた。ハマンは、おうえいあたえることをのぞものぶんがいにあるまいとこころおもったので、7おうにこうった。「おうえいあたえることをおのぞみでしたら、8おうのおしになるふくってさせ、おりになるうまあたまおうかんけたうまいてさせるとよいでしょう。9それをぞくで、おうこうかんであるものにゆだね、えいあたえることをおのぞみになるひとにそのふくけさせ、みやこひろでそのひとうませ、そのまえで、『おうえいあたえることをのぞものには、このようなことがなされる』と、れさせられてはいかがでしょうか。」10おうはそこでハマンにった。「それではさっそく、わたしのものうまり、おうきゅうもんすわっているユダヤじんモルデカイに、おまえいまったとおりにしなさい。おまえいまったことはなにひとつおろそかにしてはならない。」11ハマンはおうふくうまり、そのふくをモルデカイにせ、みやこひろかれおううませ、そのまえで、「おうえいあたえることをのぞものには、このようなことがなされる」と、まわった。

12モルデカイはおうきゅうもんもどったが、ハマンはかなしくあたまおおいながらいえいそいだ。13かれいちじゅうつまゼレシュとしたしいともだちとにはなした。そのうちのあるものもゼレシュもかれった。「モルデカイはユダヤじんすじもので、そのまえになりだしたら、あなたにはもうはなく、あなたはそのまえでただちぶれるだけです。」

14かれらがこうっているところへ、おうかんがんたちがやってて、エステルのもよおしゅえんるよう、ハマンをせきたてた。

ハマン、しっきゃくする

7

1おうとハマンは、おうエステルのしゅえんにやってた。2このふつどうように、ぶどうしゅみながらおうった。「おうエステルよ、なにのぞみがあるならかなえてあげる。ねがいとあればくにはんぶんなりともあたえよう。」3おうよ、もしおこころかないますなら」とおうエステルはこたえた。「もしとくべつはいりょをいただき、わたくしのぞみをかなえ、ねがいをいていただけますならば、わたくしのためにわたくしいのちわたくしみんぞくいのちをおたすけいただきとうございます。4わたくしわたくしみんぞくきされ、ほろぼされ、ころされ、ぜつめつさせられそうになっているのでございます。わたくしどもが、おとこおんなも、れいとしてられるだけなら、おうわずらわすほどのことではございませんから、わたくしだまってもおりましょう。」

5クセルクセスおうおうエステルに、「いったいだれがそのようなことをたくらんでいるのか、そのものはどこにいるのか」とたずねた。6エステルはこたえた。「そのおそろしいてきとは、このわるものハマンでございます。」ハマンはおうおうまえおそれおののいた。7おういかってがり、しゅえんをあとにしておうきゅうにわた。ハマンはおうエステルにいのちいをしようとしてとどまった。おうによるこうけっていてきになった、とかったからである。8ハマンがエステルのいるながいすにげかけているところへ、おうきゅうにわからおうしゅえんもどってた。おうった。「わたしのいるこのきゅう殿でんで、おうにまでらんぼうしようとするのか。」このことおうくちからはっせられるやいなや、ひとびとはハマンのかおおおいをかぶせた。9かんがんひと、ハルボナはおうった。「ちょうど、はしらがあります。おうのためにちょうなことをげてくれたあのモルデカイをつるそうとして、ハマンがてたものです。五十アンマものたかさをもって、ハマンのいえてられています。」おうは、「ハマンをそれにつるせ」とめいじた。10こうしてハマンは、ぶんがモルデカイのためにてたはしらにつるされ、おういかりはおさまった。

8

1そのクセルクセスおうは、ユダヤじんてきハマンのいえおうエステルにあたえた。エステルはモルデカイとのあいだがららせたので、モルデカイはおうまえた。2おうはハマンからかえしたゆびをモルデカイにあたえ、エステルはかれをハマンのいえかんにんとした。

ユダヤじんはくがいされる

3エステルは、ふたたおうまえもうて、そのあしもとにひれし、なみだながし、あわれみをい、アガグじんハマンのあく、すなわち、ユダヤじんたいしてかれがたくらんだことをこうにしていただくことをねがった。4おうきんしゃくべたので、エステルはこし、おうまえって、5った。「もしおこころかない、とくべつはいりょをいただき、またおうにもてきせつなこととおもわれ、わたくしにもおんをかけていただけますなら、アガグじんハメダタのハマンのかんがしたぶんしょしをかせていただきとうございます。ハマンはくにじゅうのユダヤじんみなごろしにしようとしてあのぶんしょつくりました。6わたくしぶんみんぞくにふりかかるこうるにしのびず、またどうぞくめつぼうるにしのびないのでございます。」7そこでクセルクセスおうおうエステルとユダヤじんモルデカイにった。「わたしはハマンのいえをエステルにあたえ、ハマンをにつるした。ハマンがユダヤじんほろぼそうとしたからにほかならない。8まえたちはよいとおもうことをユダヤじんのためにおうによってしるし、おうゆびいんすがよい。おうによってしるされ、おうゆびいんされたぶんしょは、すことができない。」

9そのころ、だい三のつきのこと、すなわちシワンのつきの二十三にちに、おうしょかんしょうしゅうされ、インドからクシュにいたるまで、百二十七しゅうにいるユダヤじんそうとくほうちょうかんしょしゅうこうかんたちにたいしてモルデカイがめいずるがままにぶんしょさくせいされた。それはかくしゅうごとにそのしゅうで、かくみんぞくごとにそのみんぞくげんで、ユダヤじんにはユダヤとそのげんで、10クセルクセスおうによってしるされ、おうゆびいんしてあった。そのぶんしょおういくじょそだてられたようはやうまったきゅう使によってかくとどけられた。11こうしておうめいれいによって、どのまちのユダヤじんにもぶんたちのいのちまもるためにしゅうごうし、ぶんたちをはくがいするみんぞくしゅうぐんたいおんなどもいたるまでひとのこらずほろぼし、ころし、ぜつめつさせ、そのものうばることがゆるされた。12これはクセルクセスおうくにじゅうどこにおいても一にちだけ、だい十二のつき、すなわちアダルのつきの十三にちさだめられた。13このぶんしょうつしはどのしゅうでもすべてのみんぞくくにさだめとしてこうされ、ユダヤじんてきふくしゅうするためそのそなえるようになった。14ようはやうまったきゅう使おうめいれいによってただちにいそいでしゅったつし、ようさいまちスサでもこのさだめがわたされた。

15モルデカイがむらさきしろおうふくに、おおきなおうごんかんむりしろあかうわけ、おうまえから退たいしゅつしてくると、スサのみやこかんせいつつまれた。16それはユダヤじんにとってかがやかしく、いわうべきこと、よろこばしく、ほまれあることであった。17おうめいれいとそのさだめがとどくと、しゅうというしゅうまちというまちで、ユダヤじんよろこいわい、えんかいひらいてたのしくそのごした。そのみんぞくにもユダヤじんになろうとするものおおた。ユダヤじんたいするおそれにおそわれたからである。

ユダヤじんふくしゅう

9

1だい十二のつき、すなわちアダルのつきの十三にちに、このおうめいれいさだめがじっこうされることとなった。それはてきがユダヤじんせいばつしようとしていたであったが、たいぎゃくてんし、ユダヤじんがそのきゅうてきせいばつするとなった。2ユダヤじんはクセルクセスおうしゅうのどこでも、ぶんたちのまちで、はくがいするものほろぼすためにしゅうごうした。ユダヤじんかうものひともいなかった。どのみんぞくもユダヤじんたいするおそれにわれたからである。3しょしゅうこうかんそうとくほうちょうかんおうやくにんたちはみな、モルデカイにたいするおそれにわれ、ユダヤじんかたになった。4モルデカイはおうきゅうおおきなせいりょくち、そのめいせいはすべてのしゅうひろがった。まさにこのモルデカイというじんぶつは、いきおいであった。5ユダヤじんてきひとのこらずつるぎにかけてころし、ほろぼして、きゅうてきおもいのままにした。

6ようさいまちスサでユダヤじんころされ、ほろぼされたものかずは五百にんたっした。

7そして、パルシャンダタを、ダルフォンを、アスパタを、8ポラタを、アダルヤを、アリダタを、9パルマシュタを、アリサイを、アリダイを、ワイザタをと、10ユダヤじんてきハメダタのハマンの十にんむすころした。しかし、ものにはをつけなかった。11そのようさいまちスサのしゃかずおうのもとにほうこくされた。12おうおうエステルにった。「ようさいまちスサでユダヤじんは五百にんとハマンのむすにんころし、ほろぼした。おうこくのところではどうだったか。まだのぞみがあるならかなえてあげる。まだなにねがごとがあればおうじてあげよう。」

13エステルはった。「もしおこころかないますなら、もまたきょちょくれいおこなえるように、スサのユダヤじんのためにおゆるしをいただき、ハマンのむすにんにつるさせていただきとうございます。」14「そのとおりにしなさい」とおうこたえたので、そのさだめがスサにされ、ハマンのむすにんにつるされた。15スサのユダヤじんはアダルのつきの十四にもしゅうごうし、三百にんころした。しかし、ものにはをつけなかった。

16おうこくしょしゅうにいるのユダヤじんしゅうごうしてぶんたちのいのちまもり、てきをなくしてやすらぎをきゅうてきまん五千にんころした。しかし、ものにはをつけなかった。17それはアダルのつきの十三にちのことである。十四にはやすらぎをて、このしゅくえんよろこびのとした。18スサのユダヤじんどうげつの十三にちと十四しゅうごうし、十五にちにはやすらぎをて、このしゅくえんよろこびのとした。19こういうわけで、ほうまちさんざいしてさんのユダヤじんは、アダルのつきの十四いわいのさだめ、えんかいひらいてそのたのしみ、おくものこうかんする。

プリムはうんめいまつ

20モルデカイはこれらのごとしるし、クセルクセスおうのすべてのしゅうにいるぜんユダヤじんに、ちかくにいるものにもとおくにいるものにもぶんしょおくり、21まいねんアダルのつきの十四と十五にちいわうようにさだめた。22ユダヤじんてきをなくしてやすらぎをとして、なやみがよろこびに、なげきがまつりにわったつきとして、このつきりょうじつえんかいしゅくさいとし、おくものこうかんし、まずしいひとほどこしをすることとした。23ユダヤじんすでじっこうはじめていたことでもあり、またモルデカイがおくってきたこのことをれた。24すなわち、「ぜんユダヤじんてきアガグじんハメダタのハマンはユダヤじんぜつめつをたくらみ、プルとばれるくじをげ、ユダヤじんほろぼしろうとした。25ところが、このことがおうらされると、おうぶんしょをもって、ハマンがユダヤじんたいしてたくらんだわるいたくらみはハマンしんじょうにふりかかり、かれむすらとともにつるされるようめいじられた。26それゆえ、このりょうじつはプルにちなんで、プリムとばれる。」それゆえ、そのしょかんぜんぶんしたがって、またこのけんかんしてかれらのたこと、かれらにこったことにもとづいて、27ユダヤじんぶんたちも、そのそんも、またぶんたちにどう調ちょうするすべてのひとどうようまいねんこのりょうじつさいされているとおり、またそのづけのとおりに、おこたりなくいわうことをせいていし、ならわしとした。

28こうして、このりょうじつはどのだいにも、どのぞくでも、どのしゅうでも、どのまちでもねんされ、いわわれてきた。このプリムのまつりは、ユダヤじんなかからせてはならないものであり、そのねんそんけっしてやしてはならないものである。

29さて、おうとなったアビハイルのむすめエステルは、ユダヤじんモルデカイとともにプリムにかんするこのだい二のしょかんをすべてのけんげんをもってしたため、かくにんした。30クセルクセスのおうこく百二十七しゅうにいるすべてのユダヤじんに、へいしんじつことをもってぶんしょおくられ、31こうしてユダヤじんモルデカイがおうエステルとともさだめたとおり、またかれらがぶんたちとそのそんのためにだんじきなげきにかんしてさだめたとおり、プリムのまつりのづけさだめられた。32エステルのことによってプリムにかんするこうさだめられ、ぶんしょろくされた。

モルデカイのえい

10

1クセルクセスおうぜんこくうみしまじまぜいした。2おうけんをもってゆうかんすいこうしたすべてのぎょうと、またそのおうたかめてモルデカイにあたえたえいしょうさいは、『メディアとペルシアのおうねんだい』にしるされている。3ユダヤじんモルデカイはクセルクセスおうについたからである。ユダヤじんにはあおがれ、おおくのきょうだいたちにはあいされて、かれはそのたみこうふくもとめ、そのすべてのそんへいやくそくした。

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