ホ セ ア 書
1
1ユダの王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代、イスラエルの王ヨアシュの子ヤロブアムの時代に、ベエリの子ホセアに臨んだ主の言葉。
ホセアの妻と子
2主がホセアに語られたことの初め。
主はホセアに言われた。
「行け、淫行の女をめとり
淫行による子らを受け入れよ。
この国は主から離れ、淫行にふけっているからだ。」
3彼は行って、ディブライムの娘ゴメルをめとった。彼女は身ごもり、男の子を産んだ。4主は彼に言われた。
「その子をイズレエルと名付けよ。
間もなく、わたしはイエフの王家に
イズレエルにおける流血の罰を下し
イスラエルの家におけるその支配を絶つ。
5その日が来ると
イズレエルの平野で
わたしはイスラエルの弓を折る。」
6彼女は再び身ごもり、女の子を産んだ。主は彼に言われた。
「その子を
ロ・ルハマ(憐れまれぬ者)と名付けよ。
わたしは、もはやイスラエルの家を憐れまず
彼らを決して赦さないからだ。
7だが、ユダの家には憐れみをかけ
彼らの神なる主として、わたしは彼らを救う。
弓、剣、戦い、馬、騎兵によって
救うのではない。」
8彼女はロ・ルハマを乳離れさせると、また身ごもって、男の子を産んだ。9主は言われた。
「その子を
ロ・アンミ(わが民でない者)と名付けよ。
あなたたちはわたしの民ではなく
わたしはあなたたちの神ではないからだ。」
2
イスラエルの回復
1イスラエルの人々は、その数を増し
海の砂のようになり
量ることも、数えることもできなくなる。
彼らは
「あなたたちは、ロ・アンミ(わが民でない者)」と
言われるかわりに
「生ける神の子ら」と言われるようになる。
2ユダの人々とイスラエルの人々は
ひとつに集められ
一人の頭を立てて、その地から上って来る。
イズレエルの日は栄光に満たされる。
3あなたたちは兄弟に向かって
「アンミ(わが民)」と言え。
あなたたちは姉妹に向かって
「ルハマ(憐れまれる者)」と言え。
イスラエルの背信
4告発せよ、お前たちの母を告発せよ。
彼女はもはやわたしの妻ではなく
わたしは彼女の夫ではない。
彼女の顔から淫行を
乳房の間から姦淫を取り除かせよ。
5さもなければ、わたしが衣をはぎ取って裸にし
生まれた日の姿にして、さらしものにする。
また、彼女を荒れ野のように
乾いた地のように干上がらせ
彼女を渇きで死なせる。
6わたしはその子らを憐れまない。
淫行による子らだから。
7その母は淫行にふけり
彼らを身ごもった者は恥ずべきことを行った。
彼女は言う。
「愛人たちについて行こう。
パンと水、羊毛と麻
オリーブ油と飲み物をくれるのは彼らだ。」
8それゆえ、わたしは彼女の行く道を茨でふさぎ
石垣で遮り
道を見いだせないようにする。
9彼女は愛人の後を追っても追いつけず
尋ね求めても見いだせない。
そのとき、彼女は言う。
「初めの夫のもとに帰ろう
あのときは、今よりも幸せだった」と。
10彼女は知らないのだ。
穀物、新しい酒、オリーブ油を与え
バアル像を造った金銀を、豊かに得させたのは
わたしだということを。
11それゆえ、わたしは刈り入れのときに穀物を
取り入れのときに新しい酒を取り戻す。
また、彼女の裸を覆っている
わたしの羊毛と麻とを奪い取る。
12こうして、彼女の恥を愛人たちの目の前にさらす。
この手から彼女を救い出す者はだれもない。
13わたしは彼女の楽しみをすべて絶ち
祭り、新月祭、安息日などの祝いを
すべてやめさせる。
14また、彼女のぶどうといちじくの園を荒らす。
「これは愛人たちの贈り物だ」と
彼女は言っているが
わたしはそれを茂みに変え
野の獣がそれを食い荒らす。
15バアルを祝って過ごした日々について
わたしは彼女を罰する。
彼女はバアルに香をたき
鼻輪や首飾りで身を飾り
愛人の後について行き
わたしを忘れ去った、と主は言われる。
イスラエルの救いの日
16それゆえ、わたしは彼女をいざなって
荒れ野に導き、その心に語りかけよう。
17そのところで、わたしはぶどう園を与え
アコル(苦悩)の谷を希望の門として与える。
そこで、彼女はわたしにこたえる。
おとめであったとき
エジプトの地から上ってきた日のように。
18その日が来ればと
主は言われる。
あなたはわたしを、「わが夫」と呼び
もはや、「わが主人(バアル)」とは呼ばない。
19わたしは、どのバアルの名をも
彼女の口から取り除く。
もはやその名が唱えられることはない。
20その日には、わたしは彼らのために
野の獣、空の鳥、土を這うものと契約を結ぶ。
弓も剣も戦いもこの地から絶ち
彼らを安らかに憩わせる。
21わたしは、あなたととこしえの契りを結ぶ。
わたしは、あなたと契りを結び
正義と公平を与え、慈しみ憐れむ。
22わたしはあなたとまことの契りを結ぶ。
あなたは主を知るようになる。
23その日が来れば、わたしはこたえると
主は言われる。
わたしは天にこたえ
天は地にこたえる。
24地は、穀物と新しい酒とオリーブ油にこたえ
それらはイズレエル(神が種を蒔く)にこたえる。
25わたしは彼女を地に蒔き
ロ・ルハマ(憐れまれぬ者)を憐れみ
ロ・アンミ(わが民でない者)に向かって
「あなたはアンミ(わが民)」と言う。
彼は、「わが神よ」とこたえる。
神の愛による回復
3
1主は再び、わたしに言われた。「行け、夫に愛されていながら姦淫する女を愛せよ。イスラエルの人々が他の神々に顔を向け、その干しぶどうの菓子を愛しても、主がなお彼らを愛されるように。」2そこで、わたしは銀十五シェケルと、大麦一ホメルと一レテクを払って、その女を買い取った。3わたしは彼女に言った。「お前は淫行をせず、他の男のものとならず、長い間わたしのもとで過ごせ。わたしもまた、お前のもとにとどまる。」4イスラエルの人々は長い間、王も高官もなく、いけにえも聖なる柱もなく、エフォドもテラフィムもなく過ごす。5その後、イスラエルの人々は帰って来て、彼らの神なる主と王ダビデを求め、終わりの日に、主とその恵みに畏れをもって近づく。
4
主の告発
1主の言葉を聞け、イスラエルの人々よ。
主はこの国の住民を告発される。
この国には、誠実さも慈しみも
神を知ることもないからだ。
2呪い、欺き、人殺し、盗み、姦淫がはびこり
流血に流血が続いている。
3それゆえ、この地は渇き
そこに住む者は皆、衰え果て
野の獣も空の鳥も海の魚までも一掃される。
4もはや告発するな、もはや争うな。
お前の民は、祭司を告発する者のようだ。
5昼、お前はつまずき
夜、預言者もお前と共につまずく。
こうして、わたしはお前の母を沈黙させる。
6わが民は知ることを拒んだので沈黙させられる。
お前が知識を退けたので
わたしもお前を退けて
もはや、わたしの祭司とはしない。
お前が神の律法を忘れたので
わたしもお前の子らを忘れる。
7彼らは勢いを増すにつれて
ますます、わたしに対して罪を犯した。
わたしは彼らの栄光を恥に変える。
8彼らはわが民の贖罪の献げ物をむさぼり
民が罪を犯すのを当てにしている。
9祭司も民も同じようだ。
わたしは、彼らを行いに従って罰し
悪行に従って報いる。
10彼らは食べても飽き足りることなく
淫行にふけっても
子孫を増やすことができない。
彼らは淫行を続け
主を捨て、聞き従おうとしなかったからだ。
11ぶどう酒と新しい酒は心を奪う。
12わが民は木に託宣を求め
その枝に指示を受ける。
淫行の霊に惑わされ
神のもとを離れて淫行にふけり
13山々の頂でいけにえをささげ
丘の上で香をたく。
樫、ポプラ、テレビンなどの木陰が快いからだ。
お前たちの娘は淫行にふけり
嫁も姦淫を行う。
14娘が淫行にふけっても
嫁が姦淫を行っても、わたしはとがめはしない。
親自身が遊女と共に背き去り
神殿娼婦と共にいけにえをささげているからだ。
悟りのない民は滅びる。
15イスラエルよ、たとえお前が遊女であっても
──ユダは罪を犯すな──
ギルガルに赴くな、ベト・アベンに上るな。
「主は生きておられる」と言って誓うな。
16まことにイスラエルは
強情な雌牛のように強情だ。
どうして主は、彼らを小羊のように
広い野で養われるだろうか。
17エフライムは偶像のとりこになっている。
そのままにしておくがよい。
18彼らは酔いしれたまま、淫行を重ね
恥知らずなふるまいに身をゆだねている。
19欲望の霊は翼の中に彼らを巻き込み
彼らはいけにえのゆえに恥を受ける。
5
イスラエルに対する審判
1聞け、祭司たちよ。
心して聞け、イスラエルの家よ。
耳を傾けよ、王の家よ。
お前たちに裁きが下る。
お前たちはミツパで罠となり
タボルの山で仕掛けられた網となり
2シッテムでは深く掘った穴となった。
わたしはお前たちを皆、懲らしめる。
3わたしはエフライムを知り尽くしている。
イスラエルがわたしから隠れることはできない。
まことに、エフライムは淫行にふけり
イスラエルは身を汚している。
4彼らは悪行のゆえに、神に帰ることができない。
淫行の霊が彼らの中にあり
主を知りえないからだ。
5イスラエルを罪に落とすのは自らの高慢だ。
イスラエルとエフライムは
不義によってつまずき
ユダも共につまずく。
6彼らは羊と牛を携えて主を尋ね求めるが
見いだすことはできない。
主は彼らを離れ去られた。
7彼らは主を裏切り
異国人の子らを産んだ。
それゆえ、新月の祭りが
彼らをも、その所有をも食い尽くす。
戦争の罪と罰
8ギブアで角笛を
ラマでラッパを吹き鳴らせ。
ベト・アベンで鬨の声をあげよ。
ベニヤミンよ、背後を警戒せよ。
9懲らしめの日が来れば
エフライムは廃虚と化す。
確かに起こることを
わたしはイスラエルの諸部族に教えた。
10ユダの将軍たちは国境を移す者となった。
わたしは彼らに、水のように憤りを注ぐ。
11エフライムは蹂躙され
裁きによって踏み砕かれる。
むなしいものを追い続けているからだ。
12わたしはエフライムに対して食い尽くす虫となり
ユダの家には、骨の腐れとなる。
13エフライムが自分の病を見
ユダが自分のただれを見たとき
エフライムはアッシリアに行き
ユダは大王に使者を送った。
しかし、彼はお前たちをいやしえず
ただれを取り去ることもできない。
14わたしはエフライムに対して獅子となり
ユダの家には、若獅子となる。
わたしは引き裂いて過ぎ行き
さらって行くが、救い出す者はいない。
15わたしは立ち去り、自分の場所に戻っていよう。
彼らが罪を認めて、わたしを尋ね求め
苦しみの中で、わたしを捜し求めるまで。
6
偽りの悔い改め
1「さあ、我々は主のもとに帰ろう。
主は我々を引き裂かれたが、いやし
我々を打たれたが、傷を包んでくださる。
2二日の後、主は我々を生かし
三日目に、立ち上がらせてくださる。
我々は御前に生きる。
3我々は主を知ろう。
主を知ることを追い求めよう。
主は曙の光のように必ず現れ
降り注ぐ雨のように
大地を潤す春雨のように
我々を訪れてくださる。」
4エフライムよ
わたしはお前をどうしたらよいのか。
ユダよ、お前をどうしたらよいのか。
お前たちの愛は朝の霧
すぐに消えうせる露のようだ。
5それゆえ、わたしは彼らを
預言者たちによって切り倒し
わたしの口の言葉をもって滅ぼす。
わたしの行う裁きは光のように現れる。
6わたしが喜ぶのは
愛であっていけにえではなく
神を知ることであって
焼き尽くす献げ物ではない。
イスラエルの罪
7彼らはアダムで契約を破り
そこでわたしを裏切った。
8ギレアドは悪を行う者どもの住みか
流血の罪を犯した者の足跡がしるされている。
9祭司の一団は待ち伏せる強盗のように
シケムへの道で人を殺す。
なんという悪事を彼らは行うことか。
10イスラエルの家に、恐るべきことをわたしは見た。
そこでエフライムは姦淫をし
イスラエルは自分を汚した。
11ユダよ、お前にも
刈り取られる時が定められている。
わたしが民を回復させようとし
7
1イスラエルをいやそうとしても
かえって、エフライムの不義
サマリアの悪が現れる。
実に、彼らは偽りをたくらむ。
盗人は家に忍び込み
外では追いはぎの群れが人を襲う。
2わたしは彼らの悪事をすべて心に留めている。
しかし、彼らは少しも意に介さない。
今や、彼らは悪に取り囲まれ
その有様はわたしの目の前にある。
3彼らは悪事によって王を
欺きによって高官たちを喜ばせる。
4彼らは皆、姦淫を行う者
燃えるかまどのようだ。
パンを焼く者は小麦粉をこねると
膨むまで、火をかき立てずにじっと待つ。
5我々の王の祝いの日に
高官たちはぶどう酒の熱で無力になり
王は陰謀を働く者たちと手を結び
6燃えるかまどのようなたくらみに心を近づける。
夜の間眠っていた彼らの怒りは
朝になると燃え盛る火のように炎を噴く。
7彼らは皆、かまどのように熱くなり
自分たちを支配する者を焼き尽くした。
王たちはことごとく倒れ
ひとりとして、わたしを呼ぶ者はなかった。
イスラエルと諸国民
8エフライムは諸国民の中に交ぜ合わされ
エフライムは裏返さずに焼かれた菓子となった。
9他国の人々が彼の力を食い尽くしても
彼はそれに気づかない。
白髪が多くなっても
彼はそれに気づかない。
10イスラエルを罪に落とすのは自らの高慢である。
彼らは神なる主に帰らず
これらすべてのことがあっても
主を尋ね求めようとしない。
11エフライムは鳩のようだ。
愚かで、悟りがない。
エジプトに助けを求め
あるいは、アッシリアに頼って行く。
12彼らが出て行こうとするとき
わたしはその上に網を張り
網にかかった音を聞くと
空の鳥のように、引き落として捕らえる。
13なんと災いなことか。
彼らはわたしから離れ去った。
わたしに背いたから、彼らは滅びる。
どんなに彼らを救おうとしても
彼らはわたしに偽って語る。
14彼らは心からわたしの助けを求めようとはしない。
寝床の上で泣き叫び
穀物と新しい酒を求めて身を傷つけるが
わたしには背を向けている。
15わたしは、彼らを教えてその腕を強くしたが
彼らはわたしに対して悪事をたくらんだ。
16彼らは戻ってきたが
ねじれた弓のようにむなしいものに向かった。
高官たちは自分で吐いた呪いのために
剣にかかって倒れ
エジプトの地で、物笑いの種となる。
8
イスラエルへの警告
1角笛を口に当てよ。
鷲のように主の家を襲うものがある。
イスラエルがわたしの契約を破り
わたしの律法に背いたからだ。
2わたしに向かって彼らは叫ぶ。
「わが神よ
我々はあなたに従っています」と。
3しかし、イスラエルは恵みを退けた。
敵に追われるがよい。
4彼らは王を立てた。
しかし、それはわたしから出たことではない。
彼らは高官たちを立てた。
しかし、わたしは関知しない。
彼らは金銀で偶像を造ったが
それらは打ち壊される。
5サマリアよ、お前の子牛を捨てよ。
わたしの怒りは彼らに向かって燃える。
いつまで清くなりえないのか。
6それはイスラエルのしたことだ。
職人が造ったもので、神ではない。
サマリアの子牛は必ず粉々に砕かれる。
7彼らは風の中で蒔き
嵐の中で刈り取る。
芽が伸びても、穂が出ず
麦粉を作ることができない。
作ったとしても、他国の人々が食い尽くす。
8イスラエルは食い尽くされる。
今や、彼らは諸国民の間にあって
だれにも喜ばれない器のようだ。
9エフライムは独りいる野ろば。
アッシリアに上って行き、貢によって恋人を得た。
10彼らは諸国に貢いでいる。
今や、わたしは諸国を集める。
諸侯を従える王への貢ぎ物が重荷となって
彼らはもだえ苦しむようになる。
11エフライムは罪を償う祭壇を増やした。
しかし、それは罪を犯す祭壇となった。
12わたしは多くの戒めを書き与えた。
しかし、彼らはそれを無縁のものと見なした。
13わたしへの贈り物としていけにえをささげるが
その肉を食べるのは彼らだ。
主は彼らを喜ばれない。
今や、主は彼らの不義に心を留め
その罪を裁かれる。
彼らはエジプトに帰らねばならない。
14イスラエルはその造り主を忘れた。
彼らは宮殿を建て連ねた。
ユダも要塞の町を増し加えたが
わたしはその町々に火を送り
火は城郭を焼き尽くす。
9
1イスラエルよ、喜び祝うな。
諸国の民のように、喜び躍るな。
お前は自分の神を離れて姦淫し
どこの麦打ち場においても
姦淫の報酬を慕い求めた。
2麦打ち場も酒ぶねも、彼らを養いはしない。
新しい酒を期待しても裏切られる。
3彼らは主の土地にとどまりえず
エフライムはエジプトに帰り
アッシリアで汚れたものを食べる。
4主にぶどう酒をささげることもできず
いけにえをささげても、受け入れられない。
彼らの食べ物は偶像にささげられたパンだ。
それを食べる者は皆、汚れる。
彼らのパンは自分の欲望のためだ。
それを主の神殿にもたらしてはならない。
5祝いの日、主の祭りの日に
お前たちはどうするつもりか。
6見よ、彼らが滅びを逃れても
エジプトが彼らを集め、メンフィスが葬る。
彼らの銀も宝物もいらくさに覆われ
天幕には茨がはびこる。
預言者への憎しみ
7裁きの日が来た。
決裁の日が来た。
イスラエルよ、知れ。
お前の不義は甚だしく、敵意が激しいので
預言者は愚か者とされ、霊の人は狂う。
8預言者はわが神と共にあるが
エフライムは彼を待ち伏せて
その行く道のどこにも鳥を取る者の罠を仕掛け
その神の家を敵意で満たす。
9ギブアの日々のように、彼らの堕落は根深く
主は彼らの不義に心を留め
その罪を裁かれる。
ペオルとギルガルにおける罪
10荒れ野でぶどうを見いだすように
わたしはイスラエルを見いだした。
いちじくが初めてつけた実のように
お前たちの先祖をわたしは見た。
ところが、彼らはバアル・ペオルに行った。
それを愛するにつれて
ますます恥ずべきものに身をゆだね
忌むべき者となっていった。
11エフライムの栄えは鳥のように飛び去る。
もう出産も、妊娠も、受胎もない。
12たとえ、彼らが子供を育てても
わたしがひとり残らず奪い取る。
彼らからわたしが離れ去るなら
なんと災いなことであろうか。
13緑に囲まれたティルスのように
わたしはエフライムを見なしてきた。
しかし、エフライムは自分の子供たちを
餌食として差し出さねばならない。
14主よ、彼らに与えてください
あなたが与えようとされるものを。
彼らに与えてください
子を産めない胎と枯れた乳房を。
15彼らの悪はすべてギルガルにある。
まさにそこで、わたしは彼らを憎む。
その悪行のゆえに、彼らをわたしの家から追い出し
わたしは、もはや彼らを愛さない。
高官たちは皆わたしに逆らう者だ。
16エフライムは撃たれた。
彼らの根は枯れ、実を結ぶことはない。
たとえ子を産んでも
その胎の実、愛する子をわたしは殺す。
17わが神は彼らを退けられる。
神に聞き従わなかったからだ。
彼らは諸国にさまよう者となる。
10
イスラエルに臨む罰
1イスラエルは伸びほうだいのぶどうの木。
実もそれに等しい。
実を結ぶにつれて、祭壇を増し
国が豊かになるにつれて、聖なる柱を飾り立てた。
2彼らの偽る心は、今や罰せられる。
主は彼らの祭壇を打ち砕き
聖なる柱を倒される。
3今、彼らは言う。
「我々には王がいなくなった。
主を畏れ敬わなかったからだ。
だが王がいたとしても、何になろうか」と。
4彼らは言葉を連ね
偽り誓って、契約を結ぶ。
裁きが生え出ても
わが畑の畝に毒草が生えるようだ。
5サマリアの住民は
ベト・アベンの子牛のためにおびえ
民はそのために嘆き悲しむ。
神官たちがその栄光をたたえても
それは彼らから取り去られる。
6偶像はアッシリアへ運び去られ
大王の貢ぎ物となる。
エフライムは嘲りを受け
イスラエルは謀のゆえに辱められる。
7サマリアは滅ぼされ
王は水に浮かぶ泡のようになる。
8アベンの聖なる高台
このイスラエルの罪は破壊され
茨とあざみがその祭壇の周りに生い茂る。
そのとき、彼らは山に向かい
「我々を覆い隠せ」
丘に向かっては
「我々の上に崩れ落ちよ」と叫ぶ。
9イスラエルよ、ギブアの日々以来
お前は罪を犯し続けている。
罪にとどまり、背く者らに
ギブアで戦いが襲いかからないだろうか。
10いや、わたしは必ず彼らを懲らしめる。
諸国民は彼らに対して結集し
二つの悪のゆえに彼らを捕らえる。
11エフライムは飼い馴らされた雌の子牛
わたしは彼女に脱穀させるのを好んだ。
わたしはその美しい首の傍らに来た。
エフライムに働く支度をさせよう。
ユダは耕し、ヤコブは鋤を引く。
12恵みの業をもたらす種を蒔け
愛の実りを刈り入れよ。
新しい土地を耕せ。
主を求める時が来た。
ついに主が訪れて
恵みの雨を注いでくださるように。
13ところがお前たちは悪を耕し
不正を刈り入れ、欺きの実を食べた。
自分の力と勇士の数を頼りにしたのだ。
14どよめきがお前の民に向かって起こり
砦はすべて破壊される。
それはシャルマンがベト・アルベルを破壊し
母も子らも打ち殺したあの戦の日のようである。
15ベテルよ、お前たちの甚だしい悪のゆえに
同じことがお前にも起こる。
夜明けと共にイスラエルの王は必ず断たれる。
11
神の愛
1まだ幼かったイスラエルをわたしは愛した。
エジプトから彼を呼び出し、わが子とした。
2わたしが彼らを呼び出したのに
彼らはわたしから去って行き
バアルに犠牲をささげ
偶像に香をたいた。
3エフライムの腕を支えて
歩くことを教えたのは、わたしだ。
しかし、わたしが彼らをいやしたことを
彼らは知らなかった。
4わたしは人間の綱、愛のきずなで彼らを導き
彼らの顎から軛を取り去り
身をかがめて食べさせた。
5彼らはエジプトの地に帰ることもできず
アッシリアが彼らの王となる。
彼らが立ち帰ることを拒んだからだ。
6剣は町々で荒れ狂い、たわ言を言う者を断ち
たくらみのゆえに滅ぼす。
7わが民はかたくなにわたしに背いている。
たとえ彼らが天に向かって叫んでも
助け起こされることは決してない。
8ああ、エフライムよ
お前を見捨てることができようか。
イスラエルよ
お前を引き渡すことができようか。
アドマのようにお前を見捨て
ツェボイムのようにすることができようか。
わたしは激しく心を動かされ
憐れみに胸を焼かれる。
9わたしは、もはや怒りに燃えることなく
エフライムを再び滅ぼすことはしない。
わたしは神であり、人間ではない。
お前たちのうちにあって聖なる者。
怒りをもって臨みはしない。
10獅子のようにほえる主に彼らは従う。
主がその声をあげるとき
その子らは海のかなたから恐れつつやって来る。
11彼らは恐れつつ飛んで来る。
小鳥のようにエジプトから
鳩のようにアッシリアの地から。
わたしは彼らをおのおのの家に住まわせると
主は言われる。
12
ヤコブの罪
1エフライムは偽りをもって
イスラエルの家は欺きをもって
わたしを取り巻いた。
ユダはいまだに神から離れてさまよい
偶像を聖なるものとして信頼している。
2エフライムは風の牧者となり
一日中、熱風を追って歩く。
欺瞞と暴虐を重ね
アッシリアと契約を結び
油をエジプトへ貢ぐ。
3主はユダを告発される。
ヤコブをその歩みにしたがって罰し
その悪い行いに報いられる。
4ヤコブは母の胎にいたときから
兄のかかとをつかみ
力を尽くして神と争った。
5神の使いと争って勝ち
泣いて恵みを乞うた。
神はベテルで彼を見いだし
そこで彼と語られた。
6主こそ万軍の神
その御名は主と唱えられる。
7神のもとに立ち帰れ。
愛と正義を保ち
常にあなたの神を待ち望め。
8商人は欺きの秤を手にし、搾取を愛する。
9エフライムは言う。
「わたしは豊かになり、富を得た。
この財産がすべて罪と悪とで積み上げられたとは
だれも気づくまい。」
10わたしこそあなたの神、主。
エジプトの地からあなたを導き上った。
わたしは再びあなたを天幕に住まわせる
わたしがあなたと共にあった日々のように。
11わたしは預言者たちに言葉を伝え
多くの幻を示し
預言者たちによってたとえを示した。
12ギレアドには忌むべきものがある。
まことにそれらはむなしい。
ギルガルでは雄牛に犠牲をささげている。
その祭壇は畑の畝に積まれた石塚にすぎない。
13ヤコブはアラムの野に逃れ
イスラエルは妻を得るために仕え
また妻を得るために群れを守った。
14主は一人の預言者によって
イスラエルをエジプトから導き上らせ
預言者によって彼らを守られた。
15エフライムは主を激しく怒らせた。
主は流血の報いを彼に下し
その恥辱を彼に返される。
13
エフライムの終わり
1エフライムが語れば恐れられ
イスラエルの中で重んじられていた。
しかし、バアルによって罪を犯したので
彼は死ぬ。
2今も、彼らはその罪に加えて
偶像を鋳て造る
銀を注ぎこみ、技巧を尽くした像を。
それらはみな、職人たちの細工だ。
彼らは互いに言う。
「犠牲をささげる者たちよ、子牛に口づけせよ」と。
3彼らは朝の霧
すぐに消えうせる露のようだ。
麦打ち場から舞い上がるもみ殻のように
煙出しから消えて行く煙のようになる。
4わたしこそあなたの神、主。
エジプトの地からあなたを導き上った。
わたしのほかに、神を認めてはならない。
わたしのほかに、救いうる者はない。
5荒れ野で、乾ききった地で
わたしはあなたを顧みた。
6養われて、彼らは腹を満たし
満ち足りると、高慢になり
ついには、わたしを忘れた。
7そこでわたしは獅子のように
豹のように道で彼らをねらう。
8子を奪われた熊のように彼らを襲い
脇腹を引き裂き
その場で獅子のように彼らを食らう。
野獣が彼らをかみ裂く。
9イスラエルよ、お前の破滅が来る。
わたしに背いたからだ。
お前の助けであるわたしに背いたからだ。
10どこにいるのか、お前の王は
どこの町でも、お前を救うはずの者
お前を治める者らは。
「王や高官をわたしにください」と
お前は言ったではないか。
11怒りをもって、わたしは王を与えた。
憤りをもって、これを奪う。
12エフライムの咎はとどめておかれ
その罪は蓄えておかれる。
13産みの苦しみが襲う。
彼は知恵のない子で
生まれるべき時なのに、胎から出て来ない。
14陰府の支配からわたしは彼らを贖うだろうか。
死から彼らを解き放つだろうか。
死よ、お前の呪いはどこにあるのか。
陰府よ、お前の滅びはどこにあるのか。
憐れみはわたしの目から消え去る。
15エフライムは兄弟の中で最も栄えた。
しかし熱風が襲う。
主の風が荒れ野から吹きつける。
水の源は涸れ、泉は干上がり
すべての富、すべての宝は奪い去られる。
14
1サマリアは罰せられる。
その神に背いたからだ。
住民は剣に倒れ
幼子は打ち殺され
妊婦は引き裂かれる。
エフライムの回復と祝福
2イスラエルよ、立ち帰れ
あなたの神、主のもとへ。
あなたは咎につまずき、悪の中にいる。
3誓いの言葉を携え
主に立ち帰って言え。
「すべての悪を取り去り
恵みをお与えください。
この唇をもって誓ったことを果たします。
4アッシリアはわたしたちの救いではありません。
わたしたちはもはや軍馬に乗りません。
自分の手が造ったものを
再びわたしたちの神とは呼びません。
親を失った者は
あなたにこそ憐れみを見いだします。」
5わたしは背く彼らをいやし
喜んで彼らを愛する。
まことに、わたしの怒りは彼らを離れ去った。
6露のようにわたしはイスラエルに臨み
彼はゆりのように花咲き
レバノンの杉のように根を張る。
7その若枝は広がり
オリーブのように美しく
レバノンの杉のように香る。
8その陰に宿る人々は再び
麦のように育ち
ぶどうのように花咲く。
彼はレバノンのぶどう酒のようにたたえられる。
9ああエフライム
なおも、わたしを偶像と比べるのか。
彼の求めにこたえ
彼を見守るのはわたしではないか。
わたしは命に満ちた糸杉。
あなたは、わたしによって実を結ぶ。
10知恵ある者はこれらのことをわきまえよ。
わきまえある者はそれを悟れ。
主の道は正しい。
神に従う者はその道に歩み
神に背く者はその道につまずく。